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DSF中間発表会に先駆けて
I. ColorCenterを見学
DSFでは、主に(1)経営者の会 (2)チャレンジ06DSF (3)カラーODPビジネス開発U (4)バリアブルデータクリーニングソフト (5)オンデマンド印刷&出版の未来 (6)組織営業力強化 (7)CVMを活用したビジネスソリューション、の7テーマのビジネス研究が行われている。今回は、各テーマ毎にわかれて分科会を行った後、研究会リーダーから中間発表が行われた。各研究会の取り組み概要を紹介する。
 
「チャレンジ06DSF」
  発表者:生島リーダー(名古屋・有限会社オンデマンド印刷)

 チャレンジ06DSFは、若手を中心とする実務ペースでの研究会である。デファクトスタンダードを作ることを目的としており、まず「カラーマネジメントと品質基準」について勉強した。そこでは、各社のCMS認知度を明らかにして自社の現状を把握するため洗い出したところ、各社によってオンデマンドプリントした出力物の色の格差が激しく、現状では例えば大量受注による分業などの事業は難しいということが明らかとなった。
 カラーマネジメントの問題点としては、グラデーションの再現、グレーバランスなどだが、画質についても今後研究する必要がある。カラー管理を勉強するのに先立ち、改めてCMSについて学ぶため、カラーマネジメントについて詳しい印刷会社の文祥堂印刷へ見学し、担当者からも指導を受けた。
 これからの目標は、(1)CMSベンダーについて調査し、オンデマンド印刷でどの位のコストで、どこまで表現できるのかの研究、(2)富士ゼロックス以外のPODシステムのカラー再現性についての調査、(3)知識向上のためのCMSモデル企業の調査、を行う予定。

カラーODPビジネス聞発IIで取り組む分割画像を組み合わせて大型ディスプレイを再現するプロジェクトのデモンストレーション
●「カラーODPビジネス開発U」
 発表者:吉田リーダー(大阪・石川特殊特急製本株式会社)

 昨年は、ドキュカラーによる和紙への出力などを試したが、今回は画像を分割して出力し、それを組み合わせることで大型ディスプレイとして再現するプロジェクトを行う。この組み合わせ式の大型ディスプレイを可能性の高い商材とするためにも、秋頃までに完成品として制作する。
 分割枚数は50〜100分割のものに挑戦する予定。できればシステムはiGenなどを活用して大サイズのものを作りたい。使用用途としては、野球やサッカー観戦などのシーンで大人数で楽しめる商材をつくりたい。


●「バリアブルデータクリーニングソフト開発」
 発表者:林田リーダー(株式会社束京文久堂)
 昨年はバリアブル印刷のためのソフトを検証してみたが、結果として完全なソフトと出会うことができなかった。そこで、バリアブル印刷をスムーズに行うためにDSFスタンダードのソフトの作成を行うためのプロジェクトをスタートした。
目標は(1)CSV(バリアプル出力用ソフトにデータを取り込む際のテキストデータ)をクリーニングするソフト、(2)顧客が理解できるマニュアルをつくること、の2点である。
 バリアブルデータ作成における問題として、住所、郵便番号、会社・部署、その他への対応がある。これはデータを作る前段階で問題があり、特に住所へ対応が挙げられる。
 住所変更が自動化できるソフトとして、現在、3社のソフトを候補に上げている。一つ目が富士フイルムグラフィックシステムズが提供している「DTPスパイダー」で、データ変換ノウハウに優れており、DTPスパイダーで取り込んでinDesignへ流すという作業の中で行っている。2つ目がDMS社の「Address Correct」。自社で使用しているソフトをオープンにしてバリアブルプリントで170億円売上を出している企業。最近進んでいる市町村合併などで住所が変更した公式住所を変換できる。3つ目が沖縄県のジャスミン社の「住所正規化コンバータ」。安くて、便利、素人でも出来るソフトが欲しいという意向に沿ったもの。
 今後はこの3社にニーズを打診して、反応のあった企業の協力を得て、DSFのデファクトスタンダードなソフトになるものを作成したい。


DSF中間発表会の模様

●「オンデマンド印刷&出版の未来」
 発表者:中西リーダー(京都・中西印刷株式会社)
 
オンライン購入のニーズが高まっており、出版界も電子化へという動きが出てきたが、オンデマンド印刷への興味は薄いようである。そうした状況下でインターネット・電子本とオフセットの狭間のビジネスモデルはあるのだろうか、という観点で取り組む。
 オンデマンド商業出版の事例としては、既存絶版本の再刊を行っている「日版ブッキング」、売れにくい本をオンデマンドで小部数出版する「リキェスタ」、コンピュータベース系の「XEROXブックパーク」「遊歩人」(コニカミノルタ)などがある。また大手書店のジュンク堂では「JUNKUDO BOOK WEB」を開設、店頭でオンデマンドサービスを展開している。大きな本屋でも全ての本を置くことは不可能であるため、本屋の店頭でデータから本を作って売り渡すサービスで、1冊から受け付けており、2〜3週間で送られてくる。
 もともとオンデマンド出版としては自費出版があるが、小部数であること、流通を考慮しなくてもよいなど一般的な出版とは異なる要素があり、大きな利益を期待できる分野ではない。
 本が売れないという厳しい状況は、ブックオフなどの新古書店の台頭、アマゾンが開設しているWebサイト内の「なか身検索!」などの出現が、更に拍車をかけており、今後、益々電子書籍化が進む可能性を秘めている。
 ほとんどの書籍が電子データ化され、デジタルアーカイブが急速に進んでいくが、このアーカイブをいかにオンデマンドに取り出すかというところがポイントになってくる。ブックパークのように欲しい本を1冊から提供するというビジネスが成り立つのかどうかの検証をしていきたい。


●「組織営業力強化」
  発表者:田村リーダー(熊本コピー株式会社)
 
ベテラン営業と新人営業の質の違いに着目した研究を行う。ベテランの営業ノウハウはこれまでブラックBOXとなっていたが、その部分を標準化して、社内に反映させて利益向上に繋げられないかというかということからスタートしており、現在、日報を開発中である。ツールやスキル、知識の建て直しや整理という作業が新人に定着しないという課題があるが、その背景には意思統一の難しさがあるようだ。そこで、上司とのコミュニケーションが図れる、また自己PR、実績や計画なども管理できる日報を作りたいと思っている。


●「CVMを活用したビジネスソリューション」
  発表者:高橋リーダー(株式会社東京文久堂)
 
昨年に引き続きCVM(カスタマーバリューマーケテイング)をテーマに取り組むにあたり、今回は、参加企業7社が、ターゲットとする顧客の分類を分けてCVMを活用した営業展開を行う。取り組む顧客の分類は、家具店、不動産、外資系、信金、ブランドメーカー、旅行会社、ドラッグストア、駅弁屋さんなど。
 CVMがうまく活用できると、ベテラン営業マンよりもCVMを素直に受け止めてその通りに実践する新人営業マンのほうが成績が上回るという事例が出てきている。また1年で20社ほど営業をかけて、19杜が商談まで結びつけている企業の受注内容は、6割が印刷物、3割がオンデマンド、1割がその他ということになっているが、半分が新規の顧客である。こうした成果を得ている企業をみると、"実践あるのみ" "やらなければ何も始まらない"ということを感じる。


●「経営者の会」
  発表者:渡利リーダー(東京・みつわ印刷株式会社)
 
経営者の集い=儲けの構造研究会、という名目で、設けるための多角的な意見交換を行っていく。企業経営に命をかけている経営者が集い、自社の企業価値を高めるため、互いに切磋琢磨することを目指す。2ケ月に1回のペースで開催する予定。
 社員の声、経営者の声、声なき声から課題を抽出し、課題解決のために衆知を集め「あるべき姿」を追求する。


 
資料提供:「ニュープリンティング社(月刊ニュープリンティング7月号)」