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約6 カ月の準備期間を経て設立した同社。設立にあたっては各種の助成金を活用するなど資金調達や顧客開拓にあたった。 |
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社員の給与は年棒制を採用。「社員が会社そのもの」という経営思想のもと、業務へのモチベーションを高めている。 |
「印刷業は価格競争が激しく採算性が悪化し、ますます厳しい市場になっています。しかし、これまでの経験を活かすには、やはり印刷に関連するビジネスがふさわしいと思い、“オンデマンド印刷”を選びました」と独立の経緯を語るアラジンイデアの早田社長。大手の印刷会社で長年働いてきた知識と見識から、印刷市場における大きな波を見極め、次の時代に向けて新たな可能性を宿すオンデマンド印刷に注目。これを主軸にした新会社・アラジンイデアを約2年前に立ち上げた。
現在、カタログ・パンフレット、DM 、POP等の制作をはじめ、IR支援、eコマース支援、SP支援など、幅広く展開する同社だが、設立からしばらくの間は手探り状態が続いていた。印刷に関するノウハウやネットワークはあるものの、バックも資金も仕事もない状態でオンデマンドを専業としてスタートしたのである。顧客を開拓し、収益を安定させるまでには時間も労力も必要だった。
しかし当初から、一般の出力センターのようにオンデマンド印刷機を使って、ただ出力するというスタイルを目指そうとはしなかった。将来にわたりビジネスを確固たるものにするためには、企画から携わること、さらにオフセット印刷とは明らかに差別化したサービスを提供していくことが重要であることに気づいていたからである。
「オンデマンド印刷は“無版”の世界。版をつくって同じものを大量に刷る従来の印刷とは明らかに違います。1枚ずつでも出せるという、その最大の違いを意識したサービスを展開しなければビジネスの発展はありません」…。こう言い切る早田社長。オンデマンド印刷とオフセット印刷をコストで比較すると、裏表カラーのA4リーフを1,000枚刷った場合で、菊半裁の1台計算とほぼ同じになると言う。しかし、これより部数やページ数が増えれば面付けできる印刷の方が有利となり、低価格を訴求するだけではオーダーを増やすことはできないと判断できた。そこで”データ
to ペーパー”にオンデマンドの真の意義を見出し、バリアブル印刷をはじめオンデマンドならではの対応に果敢に取り組んだのである。いま多くの印刷会社様・広告代理店様やエンドユーザー様を取引先とし、売上を安定させているのも、そうした営業努力の結果だと言えよう。オンデマンド印刷をビジネスとして成功させるためのポイントを探る上で、大切な考え方ではないだろうか。
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