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拡大図書のサンプル本
小部数でも安価で印刷・製本できるオンデマンド印刷技術を視覚障害教育の弱視児のための読書環境整備に応用する取り組みが始まった――。富士ゼロックスのユーザーで構成するオンデマンドプリンティングビジネスを推進する全国ネットの研究会・DSF(DocumentServiceForum、中西秀彦会長)は、昨年九月、筑波大学附属盲学校(東京・文京区、飯野順子学校長)へ文字の大きさを22ポイントにした拡大図書を寄贈したが、その本が全国盲学校長会で紹介され、大きな反響を呼んだことから、このほど、全国71ある盲学校に拡大図書のサンプル本を寄贈した。

3月7日に東京・六本木の富士ゼロックス本社で行われた記者会見には、DSFから渡利孝由副会長(みつわ印刷株式会社常務取締役)、同事務局の富士ゼロックス株式会社販売本部プロダクションサービス営業部営業推進室・小林雅春室長、同・佐佐博彰氏、筑波大学附属盲学校から宇野和博教諭が出席。
はじめにDSF・渡利副会長が拡大図書のサンプル本寄贈の経緯について大要次のとおり説明した。
「DSFでは、社会貢献活動として3年前に視覚障害者読書支援協会との連携により、オンデマンド印刷を利用した拡大図書を100タイトル製作して名古屋盲人情報文化センターに寄贈したのをはじめ、2004年度には著作権許諾の必要がなく、インターネット上にテキストデータが公開されている『青空文庫』のデータを利用し、拡大図書30タイトルを製作し、筑波大学附属盲学校に寄贈した。その際、宇野教諭から筑波大学附属盲学校のほかに全国に71校の盲学校があることを聞き、オンデマンド印刷技術を視覚障害教育に活かしてもらうため、2月下旬から全校に一タイトルずつ拡大図書のサンプル本を寄贈させてもらった。今後、ユニバーサルデザイン本の希望者に対して、全国のDSF会員50社で対応することで、少しでも弱視児の読書環境整備に貢献していきたい」
今回、相談窓口となるDSF事務局の小林室長は「富士ゼロックスとしてODP分野のデファクトスタンダード作りを目指しているDSFをサポートしているが、とくに社会貢献という立場も含めていろいろな角度でオンデマンドを利用してもらいたい」と、拡大図書だけでなく、小ロット印刷物への利用もアピールした。
一方、宇野教諭は、視覚障害教育の現状について「現在、盲学校、弱視学級、一般学校に通う弱視児は全国に2000人から3000人、場合によっては5000人はいるのではないかと思われる。教科書に代表されるように点字教科書はきちんと整備されているのに対して拡大教科書はほんの一部しかなかった。教科書ですらこのような状況なので、副教材、課題図書、参考書などは、本人たちがルーペで見るか、テレビ画面に大きく映し出す拡大読書機を使うしかなく、読みにくさが大きなハンデとなっていた。これに対し、拡大図書は裸眼でも読めるので非常に読みやすく、弱視児の読書環境を整備するためにももっともっと普及してもらいたい」と述べ、DSFの社会貢献活動を高く評価した。
盲学校側では、最新のオンデマンド印刷技術を視覚障害教育の場に取り入れることによって(1)今までの印刷・製本経費を削減することができる(2)今まで実現できなかった読書媒体を提供することができる――などのメリットをもたらすものとして期待している。
具体的には、大量に印刷する場合を除き、明らかに1冊あたりの単価を下げることができる。また、データを利用しているため、年度ごとの改訂や修正も容易に行え、必要部数だけを発注することができる。(例・学校要覧、生徒手帳、読書感想文集、研究紀要)
一方、少人数であるが故に実現できなかった環境を整えることができる。(例・卒業アルバム、拡大教材、拡大図書)
最後に、宇野教諭は「最近になって知的養護学校や肢体不自由の児童にも拡大図書の方が読みやすいことが最近わかり、今後ますます増える高齢者も加えると、その潜在ニーズは非常に多いので、1つの市場と捉えてぜひ皆さんのオンデマンド印刷技術を活かしてビジネス展開していただきたい。そして、われわれ弱視者もボランティアに頼るだけの受け身ではなく、欲しい本はきちんと対価を払って買えるようなお互いに平等な社会環境が一日も早く整備されることを期待している」と述べた。


みつわ印刷40周年 記念でUD本寄贈

なお、会見の席上、渡利副会長は、みつわ印刷が今年5月に創立40周年を迎えるのに合わせて、記念事業の一環で単独で筑波大学附属盲学校に拡大図書を寄贈する計画を明らかにした。
問合先=DSF事務局(富士ゼロックス株式会社販売本部プロダクションサービス営業部内)・電話03-3584-3288
資料提供:株式会社日本印刷新聞社(「日本印刷新聞」2005年3月9日号)」