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富士ゼロックス『DocuTech』バリアブル印刷と特殊製本を駆使BtoCビジネスの確立へ力注ぐ-石川特殊特急製本株式会社
執行役員東京支店長 石川幸二氏
執行役員東京支店長 石川幸二氏
  石川特殊特急製本(株)(本社・大阪府大阪市中央区龍造寺町七ノ三八、石川彰一社長)は、超厚物の製本をはじめ、ありとあらゆるジャンルの製本を手掛け、その名のとおり製本会社としての地歩を固めてきた。そして10年前から、デジタル化時代到来を予測し、富士ゼロックス(株)製のモノクロおよびフルカラーデジタル印刷機を導入。これにより、製本というコアビジネスに加え、デジタル印刷という新ビジネスに積極的に取り組み、事業の第二の柱として育成、現在では年商45億円規模の会社に発展している。

 しかしながら、同社のここまでの道のりは平坦なものだったわけではない。10年程前から、電子ブックの伸展が見込まれる等の逆風の中、製本市場規模は減少の一途を辿るだろうと言われた。このまま何もしなければ、企業活動はどんどん縮小してしまう。このような環境下で同社が着目したのが、デジタル化への企業変革だった。「その頃の経営層が持ったビジョンが、できるだけ早期に、印刷の仕事を受注できる体制を構築することだった。しかし、長い歴史がある印刷会社が苦労しながら経営しているところに当社が後から参入しても、それらに追いつくことは厳しい。そこで、デジタル化を進めていき、デジタル印刷事業を発展させていくことを目標に掲げた。全社一丸となり、そのビジョンを信じてデジタル印刷事業に取り組み、どのような仕事でも選り好みしないという姿勢でやってきた」と、デジタル印刷事業スタートの経緯を、同社石川幸二東京支店長は振り返る。

 そこでまず、約10年前に富士ゼロックス製モノクロデジタル印刷機「DocuTech 135」を本社に一台導入。デジタル印刷事業進出の足掛かりを作った。特殊製本を本業としている同社は、印刷会社が嫌がる仕事である一冊からの極小ロットの仕事でも加工までの一貫製作体制により利益を出せる体質があるとともに超短納期対応力もあることから、同業者からの信頼と支持を集めたのだ。

 最初にデジタル印刷機を導入してから約10年。現在ではモノクロ機約20台、フルカラー機十数台を保有。その全てを富士ゼロックス製のデジタル印刷機で統一している。「製本会社だったので、印刷の仕事はほとんど同業者からの下請けで占めている。そのため、導入当初からの仕事量がそれなりにあった。したがって、すぐに印刷機を増設することになったが、スピードを求められる仕事では、複数台の印刷機で同じ物を出力する方法が有効になる。その時に、どの印刷機からでも同じ品質の物を瞬間的に出せるよう、同機種で揃えた方が良いと判断した。また最初のDocuTechを導入してみて、印刷機単体の能力はもちろんのこと、ネットワーク関連についても他社機よりも優れていると思った」と石川支店長が語るとおり、品質安定性と生産効率を追求した結果、辿り着いた答えがデジタル印刷機のオール『DocuTech』化だったのだ。この『DocuTech』の活用例として、オンデマンド印刷はもちろんのこと、カタログの無在庫サービスや、イメージを具体化するサンプル製品の製作等、顧客と一体となって展開する仕事も増えているという。

 さらに『DocuTech』を活用したバリアブル印刷サービスも展開。「印刷に限らず、市場というのは成熟すると単価がどんどん下落していく。しかし、我々は、高目の値段で営業していきたいという希望があった。そこで可変印刷でも固定印刷でも、DocuTechの出力スピードは同じというところに着目し、バリアブル印刷という付加価値サービスを行うことにした。」(石川支店長)。圧着DMやハガキ・封筒等の分野で、『DocuTech』によるバリアブル印刷が活躍。また最近では宅配業者によるメール便が普及してきたことから、A4判のパーソナライズカタログ等の新しい需要も増えてきている。

 デジタル印刷機を活用することで、従来から行ってきたオフセット印刷部門や製本部門でのビジネスの幅も広がっている。

 例えば、幼稚園や小学校では少子化現象によりアルバムの制作部数が著しく減少している。そのため、オフセット印刷で制作すると採算が合わない。そこで同社では、デジタル印刷機で卒業アルバムを印刷。さらに、バリアブル印刷と特殊製本技術を駆使して、顧客の好みに合わせたハードカバーのアルバムを制作している。「当社はあらゆる製本ができるので、そのグレードに合わせた装丁ができるのが特徴だ。したがって、製本で付加価値を生む仕事が増えている。一冊からでも製作ができ、変わった加工もできる。まさに多品種少量に合わせた仕事に特化している」と石川支店長はその効果を表している。

 バリアブル印刷におけるデータの取り扱いについては、平成17年4月に認証取得したプライバシーマークのマニュアル通りに行い、細心の注意を払っている。データはパスワードでガードされた物を受け取り、実際に操作するオペレーターが顧客に直接、パスワードを確認する方法を採っている。また、仕事によっては顧客立ち会いで行い、仕事完了と同時にハードディスクから消去。このような取り組みで顧客からの信頼を得ている。デジタル印刷を行うようになってから顧客からの反応として「超短納期対応が可能となり、今までは受注できなかったような仕事も受けられるようになったとの評価をもらっている。自社に様々な生産設備を用意しなくても、当社に仕事を出すことによって、仕事の間口を広げられるということだろう」と石川支店長は語る。

 市場の変化をいち早く察知し、それに応じたデジタル印刷という新たなビジネスモデルを創造した同社。今後もさらに一層、デジタル印刷部門を強化していくことを志向している。「一般の人でも手軽にDTPで印刷データを作れるようになっている。これからはBtoCビジネスの確立に力を注ぎたい」と石川支店長は今後の『DocuTech』活用法を見通している。


● 石川特殊特急製本株式会社
URL http://www.issmain.co.jp/



資料提供:「日本印刷新聞 7月29日 デジタル印刷特集号」