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トップページ > 活動事例のご紹介 > 合資会社開明社 > 企業ドキュメントの管理を重視 ドキュテックの導入がチャレンジの機会に
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 複写業から出発した合資会社開明社は、平成九年、ゼロックスのドキュテック135を導入し、オンデマンド印刷を新事業形態に据えてきた。その答えの一つが中小の複写・印刷業者が提携し、昨年九月に発足した合弁会社「モチーフ株式会社」。関連事業からもオンデマンド印刷の新しいビジネスモデルの一つとして注目されている同社の設立について、開明社を通し見てみたい。
開明社の岡本幸憲氏
開明社羽田支店ドキュメントセンター
羽田支店に設置されたDocuTech 135
 「ある産業が成長するときには、図面やドキュメントが発生する。そこにはひとの考え方やノウハウが詰まっている。その文書によって産業がさらに発展していく」

 開明社を創業した先代社長の言葉だという岡本幸憲氏は、岡本正・現社長の跡継ぎ、いわゆる事業継承者である。十三年に及ぶ米国留学・ビジネスから五年前に帰国。現在、他の複写・印刷業数社とともに次代のオンデマンド印刷ビジネスを構築すべく奔走している。

 同社は、昭和二十三年、西蒲田に複写業として開業した。戦後の復興期から高度成長期に京浜工業地帯として数々の町工場が生まれた大田区で、マイクロ写真、電子複写を中心に事業を展開。昭和四十七年には国内で始めて図面用の大型電子複写機「ゼロックス1860」を導入するなど率先して最新技術も取入れてきた。現在、本社事業所のほかに、西蒲田のAnnex、羽田支店ドキュメントセンター、成田営業所と三つの事業拠点を持つまでに成長し、事業分野も(1)コピー・フィニッシング、(2)データサービス、(3)エンジニアリング出力(CAD)、(4)カラーオンデマンドプリンティング、(5)オンデマンドプリンティング、(6)エンタープライズプリンティング(ドキュメントの管理・運用など)、まで拡大している。

 もっとも、複写機・CADの普及や文書作成のデジタル化に伴い、同社の主力事業だったマイクロ写真の分野は、徐々に需要が減少している。このため、多くの青写真業者と同様、周辺分野に事業を拡張する必要があったことも想像にかたくない。そして、パソコンによるDTP時代、成熟したコピー事業・印刷事業は転換期を迎えており、同社も先々のビジネスを再び見据える必要が生じてきた。

 そうした中での幸憲氏の帰国は、社長にとって心強かったに違いない。しかし、米国に滞在していた本人には「当初、青写真業を継承するつもりはなかった」。幼いころの記憶にある青写真の現像液の匂いは、心地よい思い出ではなかったからだ。それが転じて家業に入ることを決断させたのは、冒頭の先代社長の言葉だった。

 「単に商品を納入するだけでない複写業としての誇りを感じました」と、そうした気質が祖父から父を通し、自分にも強く流れていることがわかった。
もちろん、家業に入るからには同社の事業をそのまま眺めているわけにはいかない。米国でも再三にわたって学業とビジネスの両面で利用し、オンデマンド印刷の代名詞となっていたゼロックスの高速出力機「ドキュテック135」を導入して何とか新しいビジネスをつかもうと社長に談判した。

 「見事に反対されました。軽オフでも四十八時間後に納品する体制にあり、すでに納期の面でオンデマンドが実現されていたからです。しかし、当社のビジネスモデルに合って、しかも印刷会社にはない、新しい出力形態が生まれると感じました。それを強引に説得して平成九年に導入してもらいましたが、正直なところ、自分が初めて選択して導入した機械なのでかなりのプレッシャーがありましたね。それが新しい事業にチャレンジする思いに拍車をかけたと思います」
協業体モチーフを設立
印刷物をデジタル管理するためのスキャナ
(XDOD-J)

「業者は今まで複写にしろ、印刷にしろ、成果物を納入するだけでした。従来ならばそれで良かった。しかし、発注者側がドキュメントを出力する目的が大きく変わってくると思います」

 それが、岡本氏が新しいビジネスとして期待する企業内のドキュメント管理である。入力、製作、出力、保存、保守など文書に関する広い範囲を含む。ドキュテック導入のメリットは、少部数を即座に出力できるという機能的な部分に加え、そうした新しいビジネスを真剣に考える下地ができたことだという。

 その上で開明社としては、最も得意な分野でドキュテックを活用しようと模索。創業以来の五十二年間、上場企業のドキュメントを扱ってきた強みを活かし、ドキュテックに持ってくるまでのフロント部分をどう構築するか。岡本氏は顧客のワークフローと同社のサービスを一致させ、円滑な文書の入力、出力環境を構築し、それを付加価値として売り出していくことに答えを見出した。

 しかし、岡本氏が総合的なドキュメント管理を新規事業として捉え、展開していく中で、開明社だけではどうしても越えられない課題があった。組織としての「ブランド力」である。

 「一昨年から複写、印刷業、メーカー数社で立ち上げたprinting@lliance(プリンティングアライアンス)は、各社のブランド力を高めるために設立した提携・協業体です」。

 その延長線で昨年九月に合弁会社「モチーフ株式会社」を設立。社長に岡本氏が就任した。

 ドキュメントサービスを全面的に展開することになると、一社では難しい。そこで各社がノウハウを持寄り、互いに利用することで設備の稼働率を上げるとともに、商品を販売する部分に力を傾ける。また、ホスティングなどのサーバー管理やeコマースの設計など、新しいIT分野の技術もモチーフが解決、アライアンスに参加する企業に提供し、「ブランド力」を上げていく。いわゆる数社が共有するナレッジマネジメントにより参加企業がともに競争力を高めていく。

 「最終的に集中管理センターを設置し、ドキュテックを数台、場合によってはDI機などの出力設備までを導入し、アライアンス各社の設備投資へのリスク分散も視野に入れています。我々はそうして現場の作業から離れるにつれて、営業やオンデマンド商品の開発に時間を割いていく」

データ資産の運用はECで インフラはWAM!NET

 モチーフの事業は、(1)印刷、複写、情報処理に関するコンサルタント、(2)印刷、複写、情報処理に関係する市場調査、(3)インターネット、コンピューターネットワーク事業の企画、運営、(4)印刷、複写、情報処理に関する業務、(5)ソフトウェア業、(6)その他付帯する業務の受託。

 岡本氏は、発注者のワークフローと我々のサービスを一致させ、シームレスな入・出力環境を構築するには、EC(電子商取引)が欠かせないと述べる。
 発注者が出力したいファイルをFTPでサーバーに送信、またはデータベースから指示し、その情報が営業部門や制作部門にすぐに反映させるシステムである。このインフラには、出版・印刷・業界向けのネットワークシステム「WAM!NET」を利用することになる。

 「WAM!NETはモチーフとしてECを構築する上で重要視しています。データセンターを設置するのに安全な管理体制があることと、プリント分野に特化していることです」

 その中でもWAM!NETのホスティングに注目している。中堅以上の一般企業の文書は各社が持つサーバに保管されているケースが多い。今後、何年にも渡って自社で文書を管理していくとなると、サーバーの容量は、拡大していかざるを得ない。この場合、セキュリティや運用面で支障をきたすことも考えられるため、モチーフを通してWAM!NETにデータを保管することで安全の確保と運用面での円滑化を図ることができる。

 「運用面で見ると、例えば、小ロットであれば、WAM!NETにアクセスした発注者が自社のプリンタで出力すればよいし、ロットがまとまれば、我々のドキュテックやカラードキュテック60で出力すればよい」
 今後、岡本氏は、集中管理センターの構築に力を集中することになる。しかし、先代、現社長と脈々受継がれてきた「顧客のデータ、いわゆる資産を管理・運用していくことが開明社のサービス」というスタンスは、出力形態が青写真でも、複写でも、ドキュテックでも変わらない伝統となっている。その中から複写・印刷の新しいビジネスモデルとして、どのような仕組みを作り上げていくのか、注目される。

資料提供:「プレテックステージニュース7月5日号」
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