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印刷物をデジタル管理するためのスキャナ
(XDOD-J) |
「業者は今まで複写にしろ、印刷にしろ、成果物を納入するだけでした。従来ならばそれで良かった。しかし、発注者側がドキュメントを出力する目的が大きく変わってくると思います」
それが、岡本氏が新しいビジネスとして期待する企業内のドキュメント管理である。入力、製作、出力、保存、保守など文書に関する広い範囲を含む。ドキュテック導入のメリットは、少部数を即座に出力できるという機能的な部分に加え、そうした新しいビジネスを真剣に考える下地ができたことだという。
その上で開明社としては、最も得意な分野でドキュテックを活用しようと模索。創業以来の五十二年間、上場企業のドキュメントを扱ってきた強みを活かし、ドキュテックに持ってくるまでのフロント部分をどう構築するか。岡本氏は顧客のワークフローと同社のサービスを一致させ、円滑な文書の入力、出力環境を構築し、それを付加価値として売り出していくことに答えを見出した。
しかし、岡本氏が総合的なドキュメント管理を新規事業として捉え、展開していく中で、開明社だけではどうしても越えられない課題があった。組織としての「ブランド力」である。
「一昨年から複写、印刷業、メーカー数社で立ち上げたprinting@lliance(プリンティングアライアンス)は、各社のブランド力を高めるために設立した提携・協業体です」。
その延長線で昨年九月に合弁会社「モチーフ株式会社」を設立。社長に岡本氏が就任した。
ドキュメントサービスを全面的に展開することになると、一社では難しい。そこで各社がノウハウを持寄り、互いに利用することで設備の稼働率を上げるとともに、商品を販売する部分に力を傾ける。また、ホスティングなどのサーバー管理やeコマースの設計など、新しいIT分野の技術もモチーフが解決、アライアンスに参加する企業に提供し、「ブランド力」を上げていく。いわゆる数社が共有するナレッジマネジメントにより参加企業がともに競争力を高めていく。
「最終的に集中管理センターを設置し、ドキュテックを数台、場合によってはDI機などの出力設備までを導入し、アライアンス各社の設備投資へのリスク分散も視野に入れています。我々はそうして現場の作業から離れるにつれて、営業やオンデマンド商品の開発に時間を割いていく」
データ資産の運用はECで インフラはWAM!NET
モチーフの事業は、(1)印刷、複写、情報処理に関するコンサルタント、(2)印刷、複写、情報処理に関係する市場調査、(3)インターネット、コンピューターネットワーク事業の企画、運営、(4)印刷、複写、情報処理に関する業務、(5)ソフトウェア業、(6)その他付帯する業務の受託。
岡本氏は、発注者のワークフローと我々のサービスを一致させ、シームレスな入・出力環境を構築するには、EC(電子商取引)が欠かせないと述べる。
発注者が出力したいファイルをFTPでサーバーに送信、またはデータベースから指示し、その情報が営業部門や制作部門にすぐに反映させるシステムである。このインフラには、出版・印刷・業界向けのネットワークシステム「WAM!NET」を利用することになる。
「WAM!NETはモチーフとしてECを構築する上で重要視しています。データセンターを設置するのに安全な管理体制があることと、プリント分野に特化していることです」
その中でもWAM!NETのホスティングに注目している。中堅以上の一般企業の文書は各社が持つサーバに保管されているケースが多い。今後、何年にも渡って自社で文書を管理していくとなると、サーバーの容量は、拡大していかざるを得ない。この場合、セキュリティや運用面で支障をきたすことも考えられるため、モチーフを通してWAM!NETにデータを保管することで安全の確保と運用面での円滑化を図ることができる。
「運用面で見ると、例えば、小ロットであれば、WAM!NETにアクセスした発注者が自社のプリンタで出力すればよいし、ロットがまとまれば、我々のドキュテックやカラードキュテック60で出力すればよい」
今後、岡本氏は、集中管理センターの構築に力を集中することになる。しかし、先代、現社長と脈々受継がれてきた「顧客のデータ、いわゆる資産を管理・運用していくことが開明社のサービス」というスタンスは、出力形態が青写真でも、複写でも、ドキュテックでも変わらない伝統となっている。その中から複写・印刷の新しいビジネスモデルとして、どのような仕組みを作り上げていくのか、注目される。
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