同社が事務用品販売から脱却し、印刷専業に移行したのが昭和五十三年。文字物を主体にスタートする中で、多様化するニーズの要望に応え、現在ではその営業範囲も多種多様にわたっている。また、これらを生産する設備も豊富で、組版から印刷・加工にいたるまで、全て自社内で一貫生産体制がとられている。
一般印刷関係は本社工場で、オンデマンド印刷関係は別棟のDocuTech工場で行なわれている。
DocuTech工場で活躍しているのが、富士ゼロックス(株)のオンデマンド印刷機である。モノクロでは「DocuTech
135」が三台、内一台に中綴じ機がライン化されている。また、カラーでは「ColorDocuTech60」が一台、「DocuColor1250」が二台稼働している。
オンデマンド印刷で陣頭指揮をとるのが松本高武営業企画課課長である。
お得意先に学校、官庁関係などが多くあり、毎年のことながら年度替わりは超繁忙期を迎えます。また昨今の印刷は内容も多品種小ロットのニーズが多く、しかも短納期で価格競争も激しさを増しています。こうした要因にどのように対処したらいいのか、いろいろと試行錯誤を繰り返している時に、DocuTechに遭遇したわけです。特に、データからの取り扱いができる点に魅力があり、また、印刷品質も劣ることなく、スピードもあり、後加工もできます。いろいろな要素を検討すると非常に多くのメリットがあるわけです。そのメリットを重視し、平成十年に一号機を導入。その後増設を行ない現在三台が稼働しています。ColorDocuTechは昨年導入しています」との経緯が聞ける。
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ドキュテック工場、手前がColor
DocuTech 60 |
超繁忙期を振り返り「短時間で仕上げなくてはなりませんので、一日二十時間ぶっ通しで稼働させるという状況が続きました。一般の印刷方法ではとても太刀打ちできない仕事が、ドキュテックのお陰で、繁忙期を乗りきれました。以前では、ゴールデンウィークはあってないようなものでしたが、今年は全員揃って休みました」と。即戦力として欠かすことのできないドキュテック・オン・デマンド印刷システムである。
「カラードキュテックは印刷インキと異なりトナーを用いていますので、紙によりテカリの目立つものもありますが、紙へのヒッティングが非常に良いので、我々が見てもオフセットなのかオンデマンドなのか見分けが付かない程の上りが得られます。通常、お客様に話さなくてもそれほど問題にはなりません。特に、厚みのある紙とか薄紙などかなりつぶしが効きますので、トレーシングを刷ったり、二百ページほどの表紙の厚紙を刷ったりとか、臨機応変に対応しています。
用紙の種類もアート紙・コート紙は勿論、OHP用紙にも印刷できます。色に敏感なお客様には、実際に一度出し、それで確認をとり本番に入りますので、クレームなどは皆無です」。
現在同社では、「ネットワークパブリッシング」が提唱されている。
「このシステムは、印刷の市場ニーズに的確に応えるため、ネットワークを活用して、デジタル原稿入稿から製本までを、短時間で高速一貫処理する、印刷発注システムです。インターネットでデータを送信してもらえば、後は私共で印刷・製本を行ない、完成品は宅配便で届けます。大量の原稿データも保管活用でき拡張性もあります。データ入稿の時間や地域を選ぶことなく、二十四時間受付が可能です」。ネットワークを活用したオン・デマンド印刷システムの新しい印刷の受注形態である。
また、「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」の提唱も行なわれている。
「従来の不特定多数の人に情報を一方的に提供するマス・マーケティングの時代から、現在では、個人を対象にピンポイントで情報を提供するワン・トゥ・ワン・マーケティングの時代になってきています。これは、お客様の情報を蓄えたデータベースを活用し、そのお客様にだけ伝えたい情報を、一人一人に向け印刷し届けるというものです。これにより、お客様に最適な商品の提供ができるとともに、他社との差別化が図れます。オリジナル原稿を用途に合わせ差し替える。
つまりバリアブル印刷により違った印刷が可能なわけです。これは、ドキュテック・オン・デマンド印刷システムだからできる芸当です」と説明する。
一枚一枚違った絵柄の印刷物ができるのは、まさにバリアブル印刷による効果的なDBマーケティングの提案である。
「ドキュテック・オン・デマンド印刷システムは、あらゆる印刷媒体に対してOnetoOne、JustinTime、ePublishingが可能であり、多様なニーズにストレートに対応し、ビジネス戦略の良きパートナーとしてその効果を発揮しています」と松本課長は結ぶ。
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