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1冊からのオンデマンド出版に挑む
効率的印刷物の提案をベースに展開
オンデマンド印刷を得意とするみつわ印刷株式会社は、ビブロポートが展開する電子出版・書籍販売管理システム「eliba(エリバ)」のオンデマンド本制作及び配送・在庫管理などの物流サービス面を担当しているほか、弱視者向けオンデマンド本・大活字本の制作も積極的に行っている。技術とノウハウで切り開く新たな市場について、みつわ印刷株式会社の渡利孝由常務取締役に伺った。
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みつわ印刷は、カタログ、ポスター、ジャケット、PR紙、各種マニュアル、販促物を企画制作・印刷・加工・物流まで一貫体制で対応している。環境ISOの認証を取得している同社秦野工場には、オフセット印刷機の他にモノクロオンデマンド印刷機DocuTech6135が3台、カラーオンデマンド印刷機Color
DocuTechが1台設置されている。そのため、オフセット印刷需要だけでなく、小ロットにも対応することで、「バリブル+オンデマンド印刷」体制で顧客ニーズに柔軟に対応している。
特に、最近では、オンデマンド印刷のノウハウを活用して、弱視者向け大活字本のオンデマンド制作や、株式会社ビブロポートが展開している電子出版・書籍販売管理システム「eliba(エリバ)」におけるオンデマンド本の制作・物流に協力している。同社のオンデマンド本制作は1冊から発注可能なので、エンドユーザーの「1冊だけ欲しい」を実現しているのである。
オンデマンド印刷サービスの主軸となっているのは、グループ企業である株式会社ワタリクリエイティブで、ドキュメンテーションの作成・編集・管理など、システムからデジタルコンテンツ対応、Web展開などまでフォローしている。また、同じくグループ企業で物流管理を担当している株式会社エム・アール・ピーでは、少量多品種の製品をセット配送する「アッセンブリー」も行っているなど、一貫した効率的印刷物の制作をバックアップしている。
これまで蓄積してきたオンデマンド印刷ノウハウを活かして、オンデマンド本の制作を、本格的にスタートさせているその背景には、高まりつつある電子書籍・電子出版市場から発生するオンデマンド本需要と、超小ロット市場である弱視者向け本という二つの市場がある。実際、「2004出版指標年報」によると、現在の電子書籍市場規模は、02年で約10億円、タイトル数にすると単純計算で約4万点、重複を差し引いた数で約2万5,000点とされ、1ヶ月の新刊点数は約1,000点と推計されている。オンデマンド出版に関しても、点数は着実に伸びていると報告されており、新たな出版流通として注目されているのである。
電子出版・書籍販売管理システム「エリバ」のサイトは、在庫本・オンデマンド本・ダウンロード本という三つの形態で書籍を販売しているのが特長だ。読者がいつでも欲しい本を購入でき、この三つの形態を駆使することで、絶版本がなくなり、在庫がなくとも読者へすぐに本を届けることが可能である。同時に、販売数量・金銭管理・実績動向分析などがリアルタイムで確認でき、帳票出力も可能なので、出版社側の在庫管理も効率的になる。
また、ビブロポートが展開している作家や出版社が直接作品をPR・発表できる「書評サイト」や「作家サイト」などと連動しているので、読者を読みたい本へスムーズに誘導し、数ある本の中からターゲットを絞ったアピールが可能になるという特長を持つ。
「エリバ」で受注したオンデマンド本は、みつわ印刷へ自動的に発注情報が送られ、情報を受けたみつわ印刷では書籍の電子データを受け取って、1冊から印刷、製本、配送まで行う。なお、配送まで約10日という短期間で対応している。すでにエリバには700タイトル(5月現在)の書籍データが登録済みで、年内に5,000タイトルを揃えていくことを目標としている。
一方、大活字のオンデマンド本は、昨年夏頃から本格的にビジネス展開をスタートさせ、現在は、主に全国の図書館などに向けて販売している。発売を開始してみると、当初想定していた弱視者だけでなく、高齢者など加齢による視力の衰えから、大活字本を借りていく読者も多いとのこと。すでに発売された大活字本には、養老孟司や浅田次郎、池波正太郎など人気作家やベストセラー本がラインアップされており、今後もタイトルを増やすべく出版社側に呼びかけていくとのことだ。
大活字本には、弱視者に新たな読書の世界を提案して読書の面白さを提供するだけでなく、高齢者を中心とした一般読者の娯楽本としての役割も果たしているのである。
オンデマンド本の制作体制を確立し、企画・制作から物流まで効率化することで、オンデマンド出版という新たな出版市場の掘り起こしを図っている。印刷需要が価格競争にさらされている中、小ロット、多品種、短納期に対応し、エンドユーザーの求める超小ロットに応えることで、付加価値を見出し、新たな市場へ繋げているのである。 |
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東京都江東区深川2-13-9
TEL 03-3630-9211 FAX 03-5245-7295
http://www.mpg.co.jp |
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| 資料提供:プリテックステージ2004年6月号より |
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