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現在も倉庫には当時の活字版が保存されている。 |
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写真はチャガタイトルコ語をアラビア文字で組版したもの。ほかにも契丹(キッタン)や西夏(セイカ)、女真(ジョシン)など中国周辺の貴重な文字にも対応できる。 |
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中西さんは、今後の出版物について、「将来的にはインターネットに吸収されてしまうでしょう」との予測を立てている。ただし、「図書館には“記録"として残されていくと思います」とのこと。
例えば、学術書関係でいえば、現在、明らかにインターネットにシフトしているそうである。しかし、Webだけでは修正ができてしまい、論文発表時期などが曖昧になってしまう懸念がある。そこで、修正しづらい印刷物が「証拠」として残されていくだろうというのが根拠だ。
もともと、同社は情報を「残す」という意義をしっかりと捉えているようにみえる。活版時代からあらゆる国の特殊文字に対応してきたのも、希少な文化遺産を残そうとする取り組みがカタチとなったものだろう。DocuTechでもTrueTypeを活用することで、全ての文字出力を可能とし、同社の比類ない特色となっている。
「大量に消費される情報を見るためのメディアは、携帯端末に変わっていくと思います。しかし、超長期的な視点で考えた時、小ロットの印刷物こそ悠久に情報を残すことができると思うのです。そして、ここにオン・デマンド印刷機の一つの重要な役割があるのではないでしょうか」。
当然、ビジネスとして低コスト化等を意識しながらも、中西さんの話の端々に「印刷を通じた文化学術への貢献」という社是が受け継がれているように思えた。
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