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DSFでは、第3回DSF発表大会を2003年10月10日に渡利副会長(みつわ印刷梶jが幹事となり箱根で実施いたしました。
 天候にも恵まれまして英気を養いながら、年間のビジネス&研究会・社会貢献活動の成果を発表していただき、昨年に増して更に充実した大会となりました。

 
 きょうは、全国からお集まりいただいてありがとうございます。DSF 発表大会も今回で3回目を迎えました。年初に活動計画を立て、6月に中間発表、10月に発表大会を行うというパターンが定着してきたかと思います。
 すでに「大活字本(社会貢献活動)チーム」をはじめ、数々の成果が出ています。
またメンバー各社におかれましても、このフォーラムで発表されたアイデアをそれぞれがフィードバックして、生かしていらっしゃることと思います。そういう意味で、DSFも「研究会」ということで活動してきましたが、いよいよそれをビジネスに直結させる「正念場」を迎えていると思います。

中西秀彦著/東京創元社刊
印刷業の立場から、激変する本づくりの現状と未来を語る。出版印刷を知るためのガイドブック。1999から2000年に立命館大学で行った「情報文化論」の講義をもとに単行本化。
DocuTech の先行利得を生かして

 本の紹介をさせていただきます。今年9月末に『本は変わる!〜印刷情報文化論〜』(中西秀彦著 東京創元社)という本を出しました。執筆にあたって、「オンデマンド印刷の現在」ということで、DocuTech中心に、新しい道具を使った新たな試みをあちこちで取材させていただきました。詳細は本を読んでいただければと思いますが、私たちも安穏としていられない、DocuTechという道具を使って「何を」していくかが、問われていると切実に感じた次第です。
 オンデマンド印刷については、ここに来て他社からもいいろいろな商品が発売されるようになっています。しかし、私たちには、いままでやってきたDocuTechの先行利得が絶対あるはずです。さらに斬新なアイデアを考えて、他の追随を許さないトップの高みにまで行き着きたいと思います。

互いに学んで、高めあって

 先日、あるセミナーで、製版関係の会社がお客様のアイデアやニーズを聞きたいと大手広告宣伝部の方との対談を企画しました。製版会社ですから、当然これからは高品質の印刷でニーズに応えたいということだったと思いますが、しかし、そこで広告宣伝部のニーズとして出されたのは、ことごとくオンデマンド印刷でした。データベースと組み合わせて個別にパンフレットを配布したいということでした。
 これは明らかにニーズが変わっているということです。人間の目の解像度の限界を超えたものをつくっても仕方がない。そういう意味では、オンデマンドという領域は、ほとんどオフセットと遜色ないところまできています。大きな印刷会社が大きなオフセット印刷の機材を抱えて右往左往している間に、私たちはオンデマンド印刷で顧客のニーズをしっかりつかまえて、さらに前へ前へと展開していきたいと思います。
 DSFはそのためにいろいろなアイデアを出してきました。オンデマンドアワードにおいては4 年連続でDSFメンバーから大賞が出ました。日本のオンデマンド印刷にとって、こんなに密度の濃いフォーラムはないと自負しています。
今日は一日勉強の時間になると思いますが、ここでお互いに学んで、刺激しあって、高めあって、また来年につなげていきましょう。この会は「不景気」という言葉とは無縁です。アイデアで勝負してさらに先へと進んでいきましょう。

 いつもお世話になり、ありがとうございます。
 ちょうど1年前、着任してすぐに熊本でDSF発表大会がありました。私は、まだDSFのこともパブリッシングの内容もわからないまま熊本に行き、発表を聞かせていただきました。ある面では競合関係にあるみなさんが、仲間として研究活動をされている姿にたいへん感銘を受けました。あれから1年。きょう、その間の研究成果の発表を聞けるということで、たいへん楽しみにしております。
 いま、オンデマンド市場には非常に魅力があるということで、各社からいろいろな商品が出てきています。オンデマンド印刷に関して富士ゼロックスは先行してきたわけですが、これからもハード・ソフトの両面において、みなさまに喜んでいただけるような商品開発にいっそう力を入れていきたいと思っております。
 じつは富士ゼロックスの営業マンも、全国各地でオンデマンド技術を拡大していくようなソリューション活動を展開しています。来年の大会には、そういう事例についても発表できるようにしたいと考えています。よろしくお願いいたします。
   
 
 
会社紹介
「熊本コピー株式会社」(社員40 名)は、青写真の焼付から出発して、来年創業40 年。平成元年に「株式会社アクセス」(社員30名)を設立。熊本コピーは複写・情報管理・ファイリング・媒体変換・マイクロフィルム・入力業務、アクセスは印刷、製本、議事録、トレース、CAD、ビデオ作成、CG 作成を分担。今年10 月決算は、熊本コピーが「売上5 億円・経常利益4 %」、アクセスが「3 億円・経常利益8〜9 %」の見込み。

 DSFでは、「ソリューション営業」をテーマに研究していますが、それはもっと本質的なことをすればよいのではないかという観点から「感性と経営」と題してお話させていただきます。営業担当の方は「経営」を「営業」に置き換えて聞いていただければと思います。

本業につかず離れず

 わが社がめざす企業像は、「@本業につかず離れず、A成長し続けるベンチャー企業」です。通常の仕事だけを続けていると、受注額は毎年10〜20%ぐらい下がっていく。成長し続けるには売上の20%を新規の得意先・地域・業務で満たしていかなければならない。
 いま開拓しているのは、卒業証書のオンデマンド出力。従来、卒業生の名前は先生がボランティアで1枚ずつ書いていましたが、これはたいへんな作業です。エクセルデータを使ってカラーDocuTechで出力する。保管・鑑賞しやすいようA4判の二つ折りにして表紙をつけたり、写真やカバーをつけて付加価値を高める工夫もしています。これは来年の3月に向けて、問合せが相次いでいます。
 また議事録作成に関しては、九州、南西諸島を中心に市町村議会の音声テープを入力・出力・印刷し、入力デジタルデータから文字検索システムを構築。また、平成17年までに各自治体で情報公開令が成立することを受けて、コンサルティング業務としての文書管理にも力を入れています。情報は誰のものかといえば、国民・住民のものです。庁舎全体で一定のルールを定め、住民の要求があったとき速やかに提供できるシステムの構築を進めています。

「マッチ売りの少女」

 ブリジストンとアサヒコーポレーションは、もともと地下足袋を製造していた会社です。
キーワードは「ゴムと足回り」。ブリジストンは、本業につかず離れず、自動車、バイク、自転車のタイヤをつくり、自転車本体もつくりはじめ、ゴルフボール、ゴルフクラブを手がけて世界のブリジストンへと発展した。一方アサヒコーポレーションはずっと運動靴を作り続けた結果、経営再建の途上にある。
 「マッチ売りの少女」という童話があります。経営学的に言うとなぜ少女は死ななければならなかったのか。なぜマッチだけなのか。例えばローソクもクリスマスカードも売れば死なずにすんだのではないかということです。
 印刷屋にもまじめにがんばっているのに、倒産していく現代版マッチ売りの社長がたくさんいる。問題は何か。それは「感性」だと思うのです。「1割の分析と9割の勘」という言葉がありますが、データをいくら集めても、最終的には人間の勘、感性がものをいう。
生き残った会社、死んでいった会社。この差は何かということをぜひ考えてほしい。

経営学で経営はできない

 「人材に求められる能力には一般的能力と企業特殊的能力の2 つがある」。一般的能力とは、どの企業や組織でも通用する「料理学校の味」。企業特殊的能力とは、特定の企業・組織の中だけで通用する能力で、修業を積まなければ出せない「秘伝の味」です。
 ダイヤモンドはなぜ輝くかといえば、原石がダイヤモンドだからです。もともと持っている感性やDNA が重要なのです。経営者は、自分及び部下の個性、感性、才能を知ると同時に、教育と学習により自己啓発及び人材育成をしなければなりません。
 「経営には原理原則(経営学)が不可欠であるが、経営学で経営はできない。経営感性を兼ね備えた経営者が経営学を習得することにより鬼に金棒となる」。これは「営業には科学的営業(ソリューション営業)が不可欠であるが、ソリューション営業だけで営業はできない」と言い換えることもできます。
 「同じ風向きの航海でもある船は東に、またある船は西に行く。要は帆の張り方である」といいます。マニュアル通り、レシピ通りにやっていてはプロの世界では生きていけません。ソリューション営業力をいう前に、「感性を磨け、勘を磨け、右脳を働かせ」ということを訴えたいと思います。閃きというのは経験がなければ絶対にありません。勘は経験の積み重ねにより鋭くなる。新規事業のアイデアは、企画会議のスマートな発表からより、布団の中やふと思いつくことのほうが多い。
 私たちは、もともと印刷屋やコピー屋です。キーワードは「ドキュメント」です。新しい発想はいくらでもある。発想が出ないのは困り方が足りないのだと私は思います。
 なにごともバランスを大事にして、経営感性を研ぎ澄まして、成長を続けていきたいと思います。ありがとうございました。
研究会参加メンバー/熊本コピー株式会社株式会社アラジンイデア、株式会社パイオニアメディアクリエイツ、パシフィックリプロサービス株式会社、株式会社富士ゼロックス総合教育研究所


 

会社紹介
河北印刷株式会社は、約百年前に活版印刷からスタート。現在は、カラー商業印刷中心に印刷から製本まで社内で一貫して製作。ビデオ、CDROM、ホームページ制作など、デジタル・ネットワーク関連事業にも力を入れている。従業員は200 名弱、年商約20億円。2002年にISO9001、2003年にISO14001取得。

顧客の悩みをすべて解決する

 当社は、ソリューション営業、お客様に対する提案営業を一番大切にしてきました。印刷・デジタルデータ編集のみならず、在庫・ロジスティックなど、営業がお客様のニーズ・悩みをすいあげて、それに対してどのような御提案ができるかが大切であると思っています。
 われわれの仕事は、顧客の悩みをすべて解消することです。なかなか難しいことではありますが、さまざまな分野について勉強し、販売管理、物流、あるいは経理的なことも含めて、すべての面で提案できるような「スーパー営業」をめざしています。

デジタル化はオンデマンドから

 当社は、もともと活版から始まったということで、デジタル化が遅れました。じつはデジタル化に踏み切ったのはオンデマンド印刷導入からなのです。
 いまから8年ほど前のことです。最初は、DocuTechではなくEPRINT を導入しました。それを動かすためには「デジタル」がわからなければならないということで、全社をあげて勉強を始めました。DPTの社内ネットワーク、京都本社・東京支社の営業も含めた社内のイントラネットを構築し、顧客ともネットでつなぎました。そして富士ゼロックスの提案を受けて、EPRINTからDocuTech に移行して今日に至っています。

世界に一つしかない京扇子をつくろう

 2年前にオンデマンド賞をいただきました。1800 年代にドイツ人宣教師が和文聖書を翻訳しシンガポールで木版刷りしました。日本には2冊ほど現存していますが、この復刻版をオンデマンドで印刷し1800 年代と同じように和綴製本しました。古い製本技術と新しいデジタル技術の融合として評価されました。
 今年は、Color DocuTech で世界に一つしかない京扇子をつくろうということで、受賞をねらいました。残念ながら、賞は逃しましたが、現在、ネットでたくさんの受注をいただいています。まったく知らない人からも注文が来ています。また、京都という土地柄、芸者さんからもご贔屓すじに自分の踊り姿を印刷した扇子を配りたいということで発注をいただいています。

貼り直しが容易で、くり返し使用可

 さて、今回御紹介したいのは、新素材FIX-FILM です。従来ショールームガラスなどに貼るPOP や宣伝物は糊や磁石でつけていましたが、FIXFILMは、のり剤をまったく使用せず簡単に貼り付けたり剥がしたりできる利便性の高いフィルムです。ガラス・金属・樹脂等の平滑な面に高い保持力で貼りつきます。また、剥離力は小さいので貼り直しが容易で、くり返し使用できます。
 素材メーカーの方とお会いして、面白いと思い、まずインクジェットを使って大型ポスターをつくりました。そして、これにオンデマンドで印刷できないかということで社内で試し成功しました。


FIXFILM の使用例
●店舗の大型ポスター
●店舗内POP
●キャラクターシール
●大阪地下鉄車窓ステッカー
●神戸市バス デコレーションステッカー
いろいろな素材にチャレンジ

 今回持ってきたのは学校部活動のチラシと自動車販促用FILMです。自動車のディラーの方の悩みは、「シールは糊で貼ると汚れて剥がしにくい」ということでした。そこで、新素材FIXFILMをつかった商品を提案させていただきました。ホワイトボード的な使い方もできますし、フィルム上にPP を貼ることでマジックインクなどで金額を何度でも書き直しできます。これは非常に好評をいただきました。
詳しくは「ソリュージョンガイド カーディーラー編」としてまとめていますが、展示会用に、ご来場いただいたお客様にお配りいただける「赤ちゃんが乗っています」ステッカー、試乗車ステッカーを作成。マグネット方式に比べてコストダウンにつながることもわかりました。それがご縁で、顧客の年齢・性別、家族構成や好みによって、内容の違うDM の送付など、オンデマンド印刷の強みを生かした提案を行い、シール印刷以外の新しい仕事にもつながっています。
 これからも紙以外のいろいろな素材、通常の材料以外のものを使ったオンデマンド印刷にチャレンジしていきたいと思います。簡単ですが、一つの事例ということで御紹介させていただきました。ありがとうございました。
研究会参加メンバー/河北印刷株式会社



前回の反省を踏まえて

 今までの経緯と現状報告をさせていただきます。
 東京を中心とした出版社に対してDM を配り、赤坂ショールームで無在庫出版についてセミナーを行い受注活動を行いました。
 どれだけ来ていただけるか不安でしたが、多くの方々に来ていただきました。新規の仕事に結びつけたいというねらいでしたが、残念ながら当社は新規顧客の獲得までには至りませんでした。他のメンバーには、いろいろアプローチした結果、出版社の訪問をうけたケースもあったそうです。
 しかし、あれほど興味を持ってくれたのに新規事業として実現には至らなかった。その理由を考えると、一つには、出版社は本を販売するのがビジネスであり、大量生産の考え方から脱皮しにくい体質を持っていることが考えられます。出版社としては1000円の本を100 冊作っても10 万円の売上にしかならない。商売としての意味はほとんどないということです。反面、そうそうたくさんは売れない高価な本に関して言えば、相手を見て話をすれば商機はあるのではないかとも思います。
 このセミナーでは商売に結びきませんでしたが、多くの出版社が興味をもって来てくれたことは、将来に向けて意味があるのではないかと思います。

ターゲットの変更

 以上のことを踏まえて、出版ニーズ研究会は、方針転換をしました。つまり、法人である出版社から個人へとターゲットを切り替えることにしたのです。
 法人でも、マニュアルやカタログなどの分野では、いくらでもオンデマンド印刷の仕事はあると思います。ただ出版ということになると、個人の自費出版のニーズに焦点をあてたほうがいいのではないか。オンデマンド印刷なら、少部数にも対応し、経費も少なくてすみます。

個人向けマーケットの調査をかねて

 そういう経緯でターゲットを変更したわけですが、今度は、そのターゲットである「個人」にオンデマンド印刷で比較的安価に本がつくれるということを宣伝する必要があります。
 そこで『SF マガジン』という雑誌で「DocuTechSF 賞」の作品募集をしました。
 同時にオンデマンドに関するアンケートを実施し、個人向けのオンデマンド本マーケットの調査も行いました。この分析を、新しい仕事に生かしていこうと思っています。現在12名の方から返事がありました。まだ作品の応募はありませんが、問い合せは来ています。反応は良好だと思います。

コンピュータ好きな若い世代にもアプローチ
[中西会長]


 今回、個人にターゲットを移すにあたって、「SF」を選んだというのがミソです。実は私が今回出した本の出版元も東京創元社というSF 系の出版社です。
なぜSF かというと、コンピューターや電子書籍やオンデマンド印刷に興味があって、かつ本が好きとなると、これはSF マニアに重なっている可能性が高い。
 個人出版に関しては、株式会社プリコをはじめ、多くの会社がさまざまなプロジェクトを立ち上げています。しかし、あまりにも対象範囲が広くて、どこに網をかければいいかがわからないということは、かねてから言われていました。自費出版は、いままで功成り名を遂げた「老人」のものでした。この市場はすでに実績のあるところが押さえているということで、コンピューターやSF が好きという新しい感性を持った若者市場を開拓しようという意図をもっています。今年の夏から進めてきていますが、この賞から有名な作家が出れば権威のある賞になります。応募された作品の質が鍵ですので、みなさん、どうぞ大学の後輩などに宣伝をお願いいたします。
 実際に、若い人たちがコミケ(コミックマーケット)などに出品する同人誌制作にあたっては、町の軽オフセット印刷屋を利用しています。私はそういうニーズをオンデマンド印刷に引き入れたい。自費出版という切り口で、これから伸びていく若い人たちにオンデマンドをすりみたいと思っています。
 私の息子は映画を液晶プロジェクターで写していると思っていました。フィルムを知らない世代なのです。印刷についても活字ではなくコピーを連想する世代です。印刷とはDocuTechのことだという世代をこれから育てていきましょう。
研究会参加メンバー/富士リプロ株式会社、中西印刷株式会社、相互印刷株式会社株式会社プリコ



DSFメンバーが4年連続受賞

「Today's Company Information(今日の会社案内)」
「ぷりパブ」の紹介

By、株式会社東京文久堂


 2003オンデマンドアワードでCAPキャップベンチャー賞をいただきました「今日の会社案内」と「ぷりパブ」を配らせていただきました。「今日の会社案内」はXMLによるデータベースを利用したシステムでWEB と印刷データを同時に変更していこうというものです。WEB に管理サイトがあり、そこに変更を加えると入力データはデータベース上でXML 形式に変換されます。そのデータはPDF データを自動で書き出し、印刷物となります。同時に既存のWEB サイト上のリンクされた項目に反映されます。平均的なA3三折で約60 万円で販売しています。印刷方式はオンデマンドプリントを取り入れ、必要なときにほしい数だけ印刷できます。
 「ぷりバム」は、簡単なソフトをダウンロードし、テキストを入力していただくと、自動でXML 化して、当社の自動組版で本ができあがる。できあがったものをPDFで校正していただき納得していただければ一冊から本が手元に届きます。来月から発売する予定です。

自社開発した校正支援ツール「ex proof」
By、株式会社山縣印刷所


 山縣印刷グループは取扱説明書やコンテンツ制作を中心に、DTP 、システム開発、翻訳から印刷・製本まで行っています。私の属するYcomnワイコムはグループ内でコンテンツ制作を主に行っています。
 今回は自社開発した校正支援ツール「exproof 」について発表します。当社ではさまざまなジャンルの取扱説明書を作成している関係上、1ヶ月に1 万頁もの膨大なコピーをとっていますが、このソフト開発によってコピー枚数が激減するのではないかと期待しています。
 特徴は、コンピュータ上に校正物を提示して、顧客にコンピューター上で確認して赤を入れてもらい、それをweb 上に反映させていくことで完成させていく。取扱説明書に限らず小説など、校正者と編集者とのやり取りが必要な文章作成全般で利用できます。DSFメンバーにも十分なニーズがあると思います。
 数百ページに及ぶ取扱説明書の公正作業は、たいてい複数の部署の複数の担当者によって手分けして行われます。その膨大な出力校正紙の枚数を減らし、統括担当者の負担を軽減することを目標でした。統括担当者には各部署からの校正紙をチェックしどの部分でどのように赤が入ったのかを把握し、まとめなければならない。この煩雑な作業を省力化していきたいというニーズからソフトウェア開発がスタートしました。
 基本的考え方は、WEB を使って校正の指示をするというもの。1 つサーバーを立ててそこに原稿をアップロードすれば、オンラインでいつでもどこでも校正者はその原稿に赤を入れられます。例えば、「CLUB 」という言葉を「倶楽部」「クラブ」「くらぶ」のどれにするかについて、各校正者がコメントをつけながら赤を入れていくことができます。校正部分にコメントがデータとして入るので、同時に複数の校正者が他を参考にしながら校正することが可能です。また、WEB上で行うことによりペーパーレスで情報管理も簡単になります。誰がどの部分の校正をしたかも、統括管理者にはすぐにわかります。
 一対一での校正ならばアクロバットやワードの履歴を使えばある程度の管理はできます。
しかし、リードタイムが非常に短い工業製品の場合、仕様書のできあがりから取扱説明書まで多くの人が関わることになります。大勢で同じ文章を校正する時は、このex proof が威力を発揮します。
 このシステムは社内使用を目的として開発したのですが、実際はエンドユーザーに非常に評判が良く、もしかしたら売れるのではないかということで販売を始めました。取扱説明書だけでなく校正作業全般に使えることがわかってきました。ホームページ制作のツールとしてクライアントとの打ち合わせなどに使用したり、企画書・提案書のディスカッションなどにも使えます。チラシやパンフ、販促物の校正、カタログ制作にも使えます。約款や契約書の作成支援ツールとしても使えます。インターネットを介して使用するソフトなので、ブラウザがあればほぼ100%操作できる。いつでもどこでも自宅でも校正作業ができます。

導入ユーザー例

JAL …ボーイングから購入した機体についている取扱説明書は英文なのでこれを日本語に翻訳する際、安全基準はUSと日本で違いますので日本基準に変えます。しかしこれを外国に持っていくときに添付する取扱説明書は当然英語ですから、どの部分をどのように変えたかをチェックするときに使っています。
国内大手家電メーカー3社…取扱説明書作成
パソコンメーカー…アプリケーション作業の翻訳・校正。データのキャッチボールがインターネットを通じてできるのがミソ
教育機関…テキスト校正作業
旅行代理店…旅行パンフ作成時の校正作業

オフィス向けカラーコピー出力における
カラーマネージメント出力」ソフトの紹介

By、株式会社日本工業社


 株式会社日本工業社は、1945 年に設立され、現在、千代田区内本社と新日鉄製繊本社の大手町センター、新日鉄ソリューションズ本社、日石三菱本社等のインプラント(企業内印刷センター)部門などで、トータルドキュメントサービスを展開しています。
 コピー機のデジタル化・カラー化の進展により弊社においてもカラー出力の比率が年々増加しています。顧客企業でもインクジェットからレーザープリンターまで様々なカラー出力機器が使用されていて、それらのカラー出力の色合わせの問題が高まっています。
 印刷業界内でのカラーマネージメントシステムをそのままオフィスのカラー出力に適応するのはコスト面その他の面からも問題があります。そのため「Monaco EZ カラー」カラーマネージメントツールを使い、RGB を基準としたカラーマネージメントを行いました。
その検討結果を報告いたします。
 オフィスカラーマネージメントには、商業印刷とは異なる課題があります。
基準となる出力機器がなく、さまざまなデバイスを使用しないといけない。さまざまなアプリケーションが使用され、エクセルやワードなどはたいていRGBが基準となっています。入力機器も基準はありません。
 少量・多品種の出力が多いので出力対価が安く高価なカラーマネージメントツールを使用するのはコスト的に難しく、また商業印刷ほど高精度のカラー印刷を求められていない。
 以上のことから、商業印刷ほど精度は求めず、コストを抑え、RGBを基準にしたカラーマネージメントツールとして、「Monaco EZカラー」システムを採用しました。
 今回、「Monaco EZ カラー」で色調整を行い、パワーポイントから直接出力した印刷物をお持ちしました。商業印刷としては甘いのですがオフィス用としては十分な精度だと思います。値段はプロ版と廉価版があり廉価版は8万円です。
研究会参加メンバー/株式会社アオキオフィスサービス、株式会社光和テック、株式会社東京文久堂株式会社山縣印刷所、株式会社日本工業社株式会社コームラ、みつわ印刷株式会社、合資会社開明社、有限会社オンデマンド印刷、富士リプロ株式会社、株式会社メディアフュージョン




 大活字本の活動が終了しましたので報告したいと思います。今年7 月に名古屋盲人情報センターと筑波大付属盲学校へ残りの大活字本50タイトルを寄付させていただきました。産経、読売、中日新聞などにもこの活動が掲載されました。この場をお借りして御協力いただいた各社に感謝申し上げます。

これで終わりではなく

 「終了」と言いましたが、盲人情報文化センターの近藤豊彦所長、筑波大付属盲学校の飯野順子校長に、「これで終わりではなくDSF を中心にボランティア活動をされるのならぜひまたお願いしたい」と言われました。こちらこそ喜んでお手伝いしたいと約束しましたので、その節はぜひみなさんにもよろしくお願いしたいと思います。
 弊社の会社は東京ですが、工場は神奈川秦野市にあります。特徴をあえていうと、中小印刷会社には珍しく物流部門の会社を持っていまて、全国に印刷物や加工物を直接発送するというシステムをつくっています。

文庫本などの提案も

 大活字本に関しては、株式会社大活字さんに協力いただき、いろいろな面で勉強になったと思っています。ますますバリアフリー・ユニバーサルデザインという言葉が普及してきました。民主党をはじめ多くの議員さんにも御協力いただき、来年度は大活字本が教科書として認められました。
 いろいろなところでユニバーサルデザインという言葉が使われるようになってきました。
私どもも、大活字本の経験を踏まえて、文庫本などの提案も大活字さんと共にやっています。仕事にもしたいし、みなさんにもいろいろな報告ができるように勉強したいと思います。DSF研究会発表も毎年グレードが上がってきていますので、人との輪の中で素晴らしいDSF にしていきたいと思います。

 
研究会参加メンバー/株式会社みつわ印刷、中西印刷株式会社、相互印刷株式会社、熊本コピー株式会社、河北印刷株式会社、株式会社東京文久堂、セントラルマイクロメーション株式会、社株式会社日本工業社、株式会社広工、株式会社パイオニアメディアクリエイツ、株式会社コームラ、富士リプロ株式会社