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 DSFの大会も、今回で4回目となりました。21世紀と共にスタートしたこの会は、第1回が京都、第2回が熊本、昨年の第3回が箱根、そして今年は名古屋が開催地となりました。2001年から、オンデマンドビジネスを研究し、言及だけでなく結果を出そうと、この4年間さまざまな活動を続けてきました。そのひとつの結果として、「オンデマンドプリントによる大活字本」が、新聞紙上で取り上げられるほどの大きな成果を上げています。その他、さまざまな分野で、我々が作った事が歓迎されています。昨年は、SF大賞があり、今年は大きなプロジェクトもスタートするという事で、オンデマンドプリントの普及と促進、そして宣伝活動へ大きな意義があると期待しています。
 先日、印刷機メーカーのユーザー会に行ってきました。そこでちょっと気になった話題がありました。それは『一時はもてはやされた電子印刷・デジタル印刷が、最近は落ち着いてきた』と紹介されたことです。これは本当かな?と疑問を抱きました。私自身は、少しも落ち着いていないと思うのですが・・・。印刷機の方は相変わらず高精細印刷とか、付加価値の強い印刷とか、旧来型の印刷を極めようとしています。しかし、行き着く所まで行ってしまったというのが実情ではないでしょうか。新しい機械は本当の8色機、特色2色に光沢などを追求しています。しかし、そのような機能にどこまで需要があるのだろうかと考えてしまいます。それに比べ、私たちがやっているITソリューション、例えば文久堂さんの『ぷりパブ』など、高いニーズを持ったソリューションを生み出すことで、オンデマンド印刷には多くの発展する余地があります。さらに、ハード面でも品質面において印刷機と遜色の無いiGen3という武器を手に入れました。そこに私たちのITソリューションが付加されれば、さらに飛躍するものと確信しています。21世紀の印刷業は我々と共にあり!
 この会も年を追うごとに拡大を続けております。本日も色々な成果発表や研究から、多くのことを学んで頂きたいと思います。

 前任の勝野よりバトンタッチを致しました、新任の事務局長・森です。大任を引き継ぐわけですが、勝野に負けず劣らずご指導頂き、今後ともよろしくお願いしたいと思っております。
 今週この名古屋近郊では、F1、ジョージアカップ(旧東海クラシック)が開催されています。また、昨日から皇太子殿下が万博の為に名古屋においでになり、ここからほんの150m位のホテルに宿泊しておりまして、朝から警察が多くなっています。もう一つ、UFJ(旧東海銀行)の本店が今いるこの場所から200M程にあるなど、いずれも全国的、国際的なイベントが名古屋で開催されております。その時を同じくして、DSFの発表大会が名古屋で行われましたのも、まさしく当大会が全国的なものに発展していく先触れではないかと感じております。
 時代は大きく変わりつつあり、一つは大量生産、大量消費という事から、必要なだけ、価値のあるものを、スピードを上げて、適量として提供していく。旧来のように大量生産、大量消費、大量廃棄というシステムは、高品質、適量、適時に変わっていく。 この新しいビジネスモデルは、益々脚光を浴びていくと思っております。その根拠のひとつには、来年2005年の3月から開催される万博「愛・地球博」の最大のテーマ「環境」に見ることができます。これから環境というものを、どうやってビジネスの中にビルトインしていくのか。その中でオンデマンドプリンティングは、まさにそこにフォーカスされた、未来的な部分であると考えております。
 私たち富士ゼロックスも、年後半からiGen3を始め、長年の要望でございました、DocuTech、あるいはColor DocuTechの後継機のリリースも視野に入ってまいりました。私どもも全力を挙げて、早く市場に導入して立ち上げることを目指して、今、意を強くしているところでございます。メンバーの皆様にも、更なるご支援・ご協力を賜りたいと思いますので、本年も宜しくお願い申し上げます。


 OA化が進む生産現場・事務現場に比べ、営業部門は相変わらず個人行動の意識が強く、自分で作成した見積もりを、自分で管理・保存しているのが現状です。私たちが開発を進める「営業力強化システム」は、営業担当者の毎日の活動状況や、個人個人で保存している得意先情報等を、誰でもがスムーズに参照・活用するための管理システムです。得意先ごとに異なる見積りや、誰が何の仕事をしているかを、誰でもが見られるようになれば、自分の仕事と他の人の仕事を比較検討することができ、お互いに刺激になるなど大きなメリットが生まれると考えています。


 弊社における営業活動の問題点は、記録が残らない、記録の参照ができない。また、月に1度の会議で情報は集まっても、その後には忘れてしまい、活用されないという事です。それを改善するために、今回はSFAという考え方を参考に、「営業活動支援システム」を自社で構築したいと考えました。今回は、顧客情報の管理、営業の案件情報、見積りデータの3点に絞り、バージョン1として開発しました。当システムは今年の10月から正式に社内で運用を開始しています。そして今後の1年間で、2度程改良をし、1年後の来年の10月にはバージョン2を提供したいと思っています。
 システムを自社開発した理由は、市販品では機能が多過ぎ、操作が難しいことから初心者に大きなストレスを与えてしまうことです。そこでシステムをすぐに、そして長く使っていくために、まずは誰でも使えるものを自分たちで作り、皆が使いこなした後、徐々に機能アップしていこうと考えました。もう一つ自社開発のメリットとしては、弊社向けのシステムという事で、これまで自社で使用している様式や伝票、報告内容に合わせてシステムが構築できた点です。システム導入後に、事務処理のやり方を変える必要が無く、運用中にレイアウトや使用方法を変更したい場合でも、すぐに対応できるという利点があります。
 システムを導入するにあたり、直接的効果としては、利用者である営業本人が営業活動のプロセス管理を行えるという事です。今までは記憶や、個人のメモで進めていた営業の案件をシステムに登録していくことで、抜け落ちが全くなくなるという事が考えられます。費用回収管理(請求状況)は、各仕事、各案件に対して、請求が終わったか、終わっていないかをチェックできるようになっています。それを後から一覧表示にして、請求漏れを防ぐことができます。その他、情報のリアルタイム化があげられます。今まで営業の情報が集まる機会は、月に1回の営業会議のみでしたが、このシステムの導入により、常に最新の情報を参照することができます。間接的効果としては、水平展開支援があります。本社で受けた仕事を支店での展開が支援できると考えております。 また、業務内容の分析・監視。これは管理者側の機能ですが、これまでの実績が一覧表示されますので、それに基づいて今後、どういった形で展開するのか、業務のスタイル等を分析するツールとして使えるのではないかと考えています。
他にも、波及的効果として、ITリテラシの向上が考えられます。システムを利用する事によって、PCスキルも徐々に向上していくのではと期待しています。最後に、管理体制の構築です。今回、このシステムを導入することによって、営業に「管理されている」という意識が生まれ、日々の仕事に張りが出てくれば良いのではないかと考えております。
 来年度にはバージョン2としてシステムをグレードアップしていく予定ですが、現状の構想は、既存機能のバージョンアップというところで、見積もり機能を自動化できればと考えています。さらに、工程管理機能を付け、全社的な業務支援。次に原価情報管理で、工程管理機能と共に、原価情報(材料費・人件費等)の情報を管理し、売り上げや利益の管理を考えています。最後に、人的資源管理ということで、案件に対してスタッフの割り当てを管理できる機能や、勤怠管理、時間単価等を分析・計算できる機能が入れば、色々なシチュエーションで活用できるのではないかと思っています。


 昨年から新企業攻略ということで活動してきましたが、1年ほどかかりやっと京都の計測器メーカーから展示会用のチラシをオンデマンドで納入することができました。さらに先日、社内報のオーダーも頂くことができました。オンデマンドを切り口にして、従来のコンベンショナルな印刷も頂けるということは、我々オンデマンド印刷にとって追い風が吹いているのではないかと思っています。
 また私どもでは独自にカーユーザーにアンケートを取り、お客様とディーラーとの関係を調べたのですが、その中で興味深かったのが、購入したディーラーで車検を行うのは全体の3割という数字でした。その結果をあるディーラーに持っていった所、興味を持っていただくことができ仕事を頂くことができました。しかし問題もあり、DM等を制作する際、顧客側と我々制作側の作業工程の整備が必要だという事が分かりました。これは今後の仕事も通じて検証していこうと思っています。また注意しなければいけない点は、個人情報の問題です。各ディーラーは個人情報の取り扱いに関して、その安全確保をかなり心配しています。私どももプライバシーマークの取得を視野に入れています。これからはオンデマンド分野でバリアブルなデータを扱う会社は、個人情報管理の整備が必須になってくると思われます。この他にも、余剰チラシを大量に保管している保険会社に、オンデマンド印刷とオフセット印刷の併用で在庫とコストの削減を提案したところ、仕事を頂くことができました。

   

 私どもは、お客さまをBMWのディーラー1社に絞っています。ターゲットは、岡山・広島・山口を担当しているディーラー様で、非常に成績の良いところだそうです。ディーラーの印刷物には、BMWの日本本社から送られてくる物と、もう一つ独自で作成している物の2種類あります。当然、本社からのものは印刷をするだけですが、ディーラー様が独自に作るものはwebデザインをやっている会社が印刷物も含めて管理していました。私どもはそのデザイン会社と話をしております。内容としては、小部数のものは分散機で出力し、大量なものは是非私どもに頂きたいという事で、今提案の仕切り直しをしているところです。また、BMWが自動車教習所に教習車を提供している所があり、そこの教習生向けにBMWからのDMを作らせて頂きたいと思っておりますが、個人情報の問題が出てきますので、プライバシーマークを取得しようとしているところです。オンデマンドでバイリアブルをやっている以上、個人情報に関わっていきますので、きちんと対処していかなければならないと思っています。

   

 現在私たちは、カーディーラーと百貨店へ営業をかけています。まずカーディーラーですが、この業界を研究した結果、ベテランは黙っていても売り上げを上げますが、若手がなかなか成長しないという事が分かりました。そこで若手営業が数字を上げられるような「ダイレクトハンド用ツール」を考えれば面白いのではないかと提案してみました。入り方も「印刷会社です」というのではなく、「こういった企画があるのですが」とアポイントを取り、大手から軽自動車系まで全て回りました。いろいろヒアリングをしたところ、若手教育以外にも色々と課題があることがわかりました。それは、3ヶ月タームで行っている広告戦略だけでは解決できるものではありません。だからこそ、今後も攻めていきたいターゲットとして、注目している状況です。
 次に、百貨店ですが、今後、百貨店は紳士服の販売に力を入れていくということが分かったため、そこを切り口にアプローチ。結果は半年ほど通い、無事に開拓することができました。一番手ごたえを感じたのが、「女性にウケるツール」の提案でした。紳士服と言っても、実際に財布の紐を握っているのは女性であるため、女性が開けてみようと思えるDMを中心にデザインを起こしたことが功を奏したと思っています。もう1点の成果は、月に2回程開催されているクライアントの会議に、私とデザイナーが参加させて頂けるようになり、非常に得るものが多い機会が生まれたことです。今後は、当社が提案したツールによって、どれだけ売り上げが上がったのか、数字として統計を取りたいと思っています。紳士服催事の売り上げが、前年度に比べて倍になったという事なので、実際のDM効果が把握できれば、さらに「上客に対するスペシャルなDMを発送いたしませんか」など、新たな提案が可能になると期待しています。


 過去2年位を振り返りながら、これからの活動をお話したいと思います。少し前の話になりますが、赤坂のショールームにて出版社を集めオンデマンド印刷のセミナーを開催しました。28社35名の参加があり、DocuTechの見学やセミナーを催しその内容に満足して頂きましたが、その後出版社に営業をかけましたが、残念ながら受注にいたりませんでした。理由は、出版社のビジネスモデルは基本的に大量生産・大量消費であり、オンデマンドの考え方が理解しにくいからだと思われます。そこで出版社に頼ることなく自らの手で出版ニーズの発掘を目指していこうと、「ドキュッテックSF賞」の立ち上げました。SFマガジンに広告を出し作品も集まったのですが、応募作品の確認や、誤字脱字の確認等、問題点が多々発生してしまいました。結果として、出版社へのセミナーからの掘り起こしは困難ですし、自らが出版社になるのも無理ということで断念しました。その後もう一度原点に戻り、オンデマンドの市場の可能性を考え、出た結論はNPOで活躍する人々でした。そこでご協力いただいたのが、<サンガ出版>の古川社長です。古川さんは<サンガ出版>の社長であり、環境系のNOPレインボーの理事をなさっています。古河さんとオンデマンド印刷の活用を検討・相談した結果、「アースデイ環境大賞」の設立へと話は進展しました。内容はテーマを『森林』とし、進め方は、<サンガ出版>が編集・校正・販売の役割をし、DSFはオンデマンド印刷を担う。NPOが協賛企業や後援団体を集め、富士ゼロックスやDSFは協賛として入る事となりました。

   


 レインボーは、平成12年に東京都よりNPO(民間非営利組織)として認証され、毎年4月に「地球の日」という事で、地球環境を考える世界最大の環境イベントを開催しています。「地球の日」は、元々レインボーが行っていたアースデイという環境イベントから始まり、その成功を引き継ぎ、今では他のあらゆるNPOと連合し大きな運動となっています。
 今回のアースデイ環境大賞の展開方法ですが、現在ホームページを持っているNPOは4000団体ほどあり、4000の各NPOホームページにリンクを貼って、今回の大賞の宣伝・告知を行なうことにしています。さらに、そこから作品募集を行なっていきます。このNPO団体の中には、全国のNPOに対して共同で働き応援して行くメンバーがおよそ100万人いますので十分な宣伝が可能で、多くの作品が応募されると思われます。各地域ではNPOは草の根的な活動をしています。大変口コミ力のある主婦ですとか、学校とも連携を取り活動しています。このような活動は社会貢献としても非常に素晴らしいことなので、当然素晴らしい作品も出てくると思われます。そして名古屋で行なわれる地球博のNPOメンバーが中心に入りたいという事にもなりました。
 募集は11月からで締め切りは3月上旬。受賞セレモニーは地球博で行ないます。選考者は今まで我々NPOを支援してくださった著名人や学者の方も入ります。
当然、テレビ、マスコミ、新聞でも、賞の発表がなされていきます。受賞作に関しては出版をプロデュースしようと言う事で、ほとんどをオンデマンド出版します。これは大量消費型の出版をしないということが大前提の大賞ですので、地球に優しいオンデマンド出版がポイントとなってきます。 全国の多くの方が作品の募集対象となり、暖めていたさまざまなアイディアが上がってきますので、その中で本を作りたいという要望も生まれてきます。 実際には、この出版大賞の入り口は全てNPOにあるということで、作品に関して出版後の流通量に応じて寄付をしていきます。その寄付がオンデマンド印刷は、こういう方がこういう書籍を作りましたので是非買って下さい、とNPOがそれぞれ活動を行ないますので、作った本は確実に売れて行くと思われます。さらにこの大賞はの書籍の販売から、この団体に入るという仕組みにしております。組織の側で、循環する一つの書籍の販売システムを、オンデマンド印刷で確立していくという大きな提案ともなりますので、皆さまの御支援をお願いします。



 我々のコラボレーションチームは、十数社が参加していますが、非常に難しい題材を取り上げたようでなかなか前に進みません。とりあえず、DSFの予算で2次元コード作成ソフトを作らせて頂きました。このソフトの特長は、データを一括で取り込んで、一度に2次元コードが生成できるという点です。しかし、その用途は名刺以外に使い道が見つからないが現状です。
 また、QRコードを扱う上で、バリアブルで個人データを入れる際には、個人情報保護法に觝触するのではないかという問題がありました。これに関しては、世界標準(ISO)として認められたQRコードに手を加えた、個人情報の保護などの高度なセキュリティーシステムMSマークが開発されていましたたので、弊社はこれを採用して名刺にすぐに入れました。その後、弊社の営業全員に、QRコード活用のアイデアを募ったのですが、クライアントの意向を無視したものとなり進展しませんでした。ただ、クライアントも今は興味が無いかも知れませんが、これは見た事があるな、あの会社が持ってきたな、という効果はあるのでは無いかと思い、自社の全製品にQRコードをつけていこうと思っています。QRコードに関しては、将来性は確信しているのですが、非常に難しいというのが実情です。

   

 私のクライアントにQRコードの説明し提案したのですが、採用までには至りませんでした。理由は、QRコードを知らない人が非常に多い。それから、利用者が非常に限定される。携帯電話を持っていなければ駄目ですし、携帯のメーカーによっては読めない物があり、万人のインフラとはなっていません。そして非常に利用しにくい。携帯電話で読み取る際には、一度カメラを立ち上げバーコードリーダーを起動して、焦点合わせをしなければならないのですが、なかなかやりづらく1分弱の時間がかかってしまいます。また工場内で使う場合は、読み取るリーダーを変更しなければならず、切り替えの導入コストが非常にかかります。
 しかし何か打開策はないかと、弊社のカタログにQRコードを印刷し、お客さんに配布してみました。反応は、50件配布してアクセスは2件(4%)。気づいたけれどアクセスしなかったのは7件。QRコードに気づかなかった人が31件でした。アクセスしなかった方々に、理由をお聞きしましたところ、一つは興味が無い。次に、アクセスする為のカメラ付携帯電話(リーダー)が無いということで、インフラが普及していない事がわかりました。そこでこのQRコードの今後ですが、ただプリントするという事だけでは無く、クライアントの生産・販売・営業等の効率を上げるというメリットを見つけなければ駄目なのではないか考えています。また、生成する仕組みの販売までを視野に入れて、ビジネスチャンスをとらえないと、このQRコードを使ってのビジネスは難しいなと感じています。

   

 私どもは名刺を専門にしている会社ですので、名刺でのQRコードの活用事例と、その他の事例を発表させて頂きます。取引のある1500社程度の企業の半分位に納品と一緒にQRコード紹介のDMを出したのですが、採用して頂いた所は10数社でした。最近はISOのマークなどが入るものが多く、スペースがなくなるため、裏面にQRコードを2、3入れるという提案しているのですが、従来の片面印刷が両面印刷となることで、少し料金が上がるという効果は出ています。
 名刺に入れるQRコード情報には4点ほどあり、まず名刺に記載された全ての内容。次にホームページやe-mailのアドレスがあり、ワンクリックでアクセスやメール入力を可能になります。そして、それ以外の情報等を載せるメモ機能です。今は予想していたよりも反応は悪いですが、今後は保険会社や大企業でQRコードを採用し始めれば、他の企業も名刺に入れるケースも増えてくると思われます。私どもも、そのような発火点になりそうな企業を中心に攻めて行きたいと思っています。また、携帯電話のコンテンツを作っている会社を訪問し、その会社案内とカタログにQRコードを20個位並べて発行したケースが1点程あります。私どもは名刺を中心にやっておりますが、それ以外にも繋がったという事で、研究会の成果が出始めたと思っています。


 エレベーターをペーパークラフトで作ろうとしたきっかけは、グラフテックさんのカッティングプロッターを利用し、小ロット・多品種の模型、あるいはアイテム、DMの素材になる物を開発したいと考えたからです。最初は、住宅関連産業に特化した立体住宅を作り、各社にプレゼンしたところ、面白いという感触を得ました。そして、プレゼンを進めて行く中で、「ペーパークラフトのエレベーター」を作成して欲しいと要求されました。
 そこで機械をレンタルし、カッティングプロッターの研究をしつつ、受発注方法を考えました。最終的にはお客様に受注システムを開発して頂き、弊社が受注データベースから情報を得て、データを元にペーパークラフトを作成・発送するという形になりましたが、ペーパークラフトに対するお客様の要求グレードが高く、試作段階でかなり苦労を重ねました。多少安いとは言え、出来上がった商品のクオリティがかなり問われ、特にグラフィックのクオリティ、角の折り目、エレベーターの照明にはお客様のこだわりが強く苦労しました。画像に関しては、始めは3Dの画像(低解像度)を印刷していたのですが、もう少し高解像度で細かい部分も表現できるものを要求されました。
角の折り目は当初、通常のミシンで折り目を付けようとしていたのですが、最終的には2ペンタイプ(角の部分に折り目を2つ入れカーブを滑らかにする)になりました。 後は、それをバリアブルで行う所が一番のネックで、実際の出力物と受注データが合っているかどうかがお客様の一番心配なさっていたところでした。エレベーターの本体や天井、手すり、スイッチ部分など、どのパーツが選ばれたのかというデータと、印刷されたパーツがデータ通りかという検証をどうするかという事でした。方法としては、パーツ情報を印刷物の余白部分に挿入し、受注情報と照らし合わせて目で確認する事になりましたが、結果として、きちんとした仕組み作りができ、お客様の校正が必要無くなって、やっとこれで完成したかなという所です。


 この3年間皆様に御協力頂き、筑波大学付属盲学校(以下:筑波盲学校)と、名古屋の盲人情報文化センターへ50タイトル、さらに今回筑波盲学校へ青空文庫としてDSFユニバーサルデザイン文庫(以下:UD本)を寄付することができました。これはあくまでDSFのボランティア活動として、皆様に御協力頂きました。大変ありがとうございました。筑波盲学校へ寄付させて頂いたUD本には、皆様に協力して頂いたタイトルと会社名を巻末に掲載させて頂いております。
 お陰様で、ビジネスの大活字文庫も50タイトルを超え、全部並ぶと綺麗に揃っている感じになってきました。全国の図書館に行くとこれが並んでいます。少々料金は高いのですが、これは実際事業になっています。
 日本は老齢者には介護は手厚いですが、体の不自由な人に対しては、まだまだ国の予算も薄いのが現実です。筑波盲学校もコピー機が不自由だという事で見せてもらいましたが、どこに出しても恥ずかしいようなコピー機を使っていました。予算は年間10万円位。それではロクな機械が買えないということで、ゼロックスさんにも協力して頂くとお話をしたのですが、それくらい障害者の学校では色々苦労されています。なお前回、教科書に対して国会の方で予算が取れたとご報告しましたが、これはあくまで予算が取れたというだけで、新たに教科書作って良いと言う話ではありません。現在、教科書となっている物を大活字で作り直す事が許可されただけなので、教科書を作っている会社を説得しなければ大活字の教科書は作れません。現在、大活字本にしても、良いと言ってくれている会社は5社程で、これに関しては国語、算数、理科の3教科だけは大活字にしていきます。ちなみに、参考書は一つもありません。今後、これに関して民主党の重要法案として提出して頂くということで、今原稿を作っていますが、どんな事になるか、これから何回か国会に足を運んでみようと思います。こうした活動をしていて、子供達の喜ぶ姿をみると非常に良い事をしたなという気持ちになれます。大活字に関しては、これからも色々と進めて行く予定ですので、今後とも皆様のご協力をよろしくお願い致します。