研究会の活動

第42号「2016年度DSF全国発表大会 in お客様価値創造センター」

第42号「2016年度DSF全国発表大会 in お客様価値創造センター 開催」

 今年の活動を締めくくる「2016年DSF全国発表大会」が、11月11日(金)富士ゼロックス(株)「お客様価値創造センター」にて開催されました。
大会は林田会長のご挨拶からスタートし、今年はオンデマンド製本研究会が新たに立上り、5研究会含む7ユニットの各リーダーが力強く発表されました。各研究会ともにレベルが高いという評価で、65名の参加者を得て内容の充実した発表会となり、来年DSF発足20周年に繋がる期待と会員同士の懇親が深まる会となりました。今年は新たに2社が会員としてご参加いただくこととなり、そのご紹介をいただいた後、特別講演として、NPO法人地球ことば村・世界言語博物館理事の八木橋宏勇 氏による『世界の言語と文字の記憶』―紙と印刷を言語学はどう見てきたか―というテーマでご講演いただきました。

 

 冒頭、林田会長からはトランプ氏の45 代目アメリカ大統領選出の話題より、回りを見るとアメリカ依存が多々ある中でアメリカXeroxの関連会社である富士ゼロックスが我々DSFのパートナーであることの強み・期待と富士ゼロックスが持っている商品やサービス、ノウハウをDSFで研究を進めてもっと活用に繋げ、Win Winの関係を構築していくべきだとのお話しをいただきました。
また、DSF事務局から大隅事務局長(富士ゼロックス PS部統括長)より、今年1年の活動の振り返りと恒例のDSF会員のプリントボリュームについて、2016年度の実績は、対前年比モノクロは101%、カラーは112%の成長であったことの報告がありました。

 

 各研究会の発表は、「アプリケーション研究会」 からで(株)コームラ 鴻村社長・高井様からの発表です。テーマ・活動目的を具現化するために、新しいアプリケーションに触れ、気付きから会社にフィードバックします。前半は、Vivliostyle、Free Flowデジタル・ワークフロー・コレクション、Sky Deskの3つのアプリケーション、後半もWorking Folder、楽らく受付くんと、KintoneとFree Flow Coreとの連携の研究を続けた中で、印刷はもちろん、ワンソース、マルチユースで電子書籍、Web、紙の本まで作成できるアプリケーションをご紹介いただきました。今後業界がどのようになるか予見させるものや、運用方法を変える事で業務改善が出来ることがわかりました。どのアプリケーションも新しい気づき、考え方に繋がりました。

  続いては「Webマーケティング研究会」について共立速記印刷(株)の笹井社長より発表いただきました。
4つ活動方針に基づき、各社HPのコンセプトや良い所・悪い所の洗い出しから改善のヒントを得ることができました。また、Webをベースにビジネス運営されているヤマゼンコミュニケイションズ(株)様の見学で刺激を受け、ハピログ(株)中林社長からの講演でFacebook広告の有用性を認識しました。SNSを利用した広告はかなり効果的であり、そのために効果的な配信を行うためのお客様とのコミュニケーションの仕組みを作る必要があることが朗かになりました。研究・活動を続けてきた中で、メンバーより「技術に使われるのではなく、技術を使うことが大切」という名言も生まれました。

 

 「ODPグラフィック研究会」からは(株)白橋 丹羽センター長が社会の役に立つ提案や商材について研究を続け、その開発が課題解決に繋げられることを目指して進めてきたことを発表されました。
活動内容として、情報印刷(株)への会社見学会での「コールドフォイル」と「疑似エンボス」の技術の認識、また(株)野毛印刷社ではそれをPODで再現できないかをトライアルされ、サンプル提案されました。課題解決の素材研究として「マグネットシート」は新しい市場への参入の可能性、「音声コード」は情報弱者に対すツールとして有効、「ICタグ」はセンシティブな情報や物の出入り人の出入りなどに効果があるという3つの検証が実施できました。素材・商材の社会の役に立つ活用シーンを具体化でき、また地域社会への貢献活動の事例も多々知ることができました。DSFメンバーへの展開を期して発表を締められました。

 4番目は「営業戦略研究会」です。発表は山陽印刷(株)の秋山副社長からで、テーマは「顧客の信頼を数値化する」です。一昨年前から取り組んできた「顧客の信頼」を「見える化」に繋げ、PDCAを回すために、NPSの手法を使い定性部分を可視化していくとの内容でした。実際にNPSツールを使い、メンバー各社のお客様に対する推奨度調査を実施することで、自社が顧客からどのように映っているのかを認識し、施策に展開できる分析データを収集することができました。結果、お客様を「知る」ことの必然性やお客様の一歩前を先んじ提案することの必要性を確認することができました。

 

 研究会最後は今年新たに研究テーマとして発足した「オンデマンド製本研究会」で(株)明光社 矢野社長から発表いただきました。ODPが出版業界のトランプ(切り札)となり得るのか?その中で製本・後加工が完全競争下から抜け出す差別化の大きなファクターであることを話していただきました。全3回の活動で、会員メンバーの製本・後加工に対するニーズ/考え方の認識、機器メーカー視点で(株)ホリゾン東テクノの佐野社長に、また売り手、作り手視点で出版・取次の(株)星雲社の平野宙社長をお招きして両視点からの考え方や業界動向を理解することができました。書籍全体の市場が少し上向きになっており、出版業界へのPODの価値を浸透させていくのが我々の使命であることを提案いただきました。

 続いて「経営者の会」は、DSFアドバイザーの吉岡七五三様から発表いただきました。我々が狙っているマーケットが皆で工夫できる時代となり、今年の研究会活動を聞いて、課題をベースにして勉強し合う時代が来たと実感したこと。更に発展させPODマーケットを主流にしたいという想いを伝えられました。今年は会員各社、全6社を訪問・見学し各社を知る活動を通じ、力を合わせて繋がることの大切さとシェアリングビジネスの高いレベルでの推進を実感することができました。

 

 DSFの「社会貢献活動」については(有)オンデマンド印刷 生島社長より、全国の盲学校への拡大本提供について発表いただきました。今年から協力会社が2社加わり20社となりました。寄贈先学校と寄贈冊数の推移(2016年は54校1,302冊)の報告と盲学校からのたくさんの感謝のことばを頂いたこと、また納品で学校を訪問してヒアリングされたことで盲学校の課題を見出すこともできました。
継続は力であり、評価に繋がります。地道な活動を継続しDSFの存在意義が高まるように勤めて参ります。次年度以降もご協力をお願いいたします。と締めくくられました。

 続いて、富士ゼロックス マーケティング部の杉田部長より全国に広がる「志プロジェクト」についての進捗報告がありました。今年は累計7地域8大学で活動中で、各々課題はあるものの大学(学生)と地域企業との産学連携が、DSF会員と金融機関と富士ゼロックスのサポートにより着実に成果を上げてきている報告がありました。またハピログ(株)の中林社長より熊本震災時のリアル状況を残したFacebookコンテンツを地元の方の意向を汲みPhoto Bookにして展開されたお話しをいただきました。

今年は新たに2社が入会となりました。
(株)アピックス様からは河村社長と重松氏に、また(株)オーディーピーセンター様からは林専務よりそれぞれご挨拶いただきました。

 【特別講演】今回は、杏林大学外国語学部准教授でNPO法人地球ことば村・世界言語博物館理事の八木橋宏勇 氏から情報の伝達手段である“言葉”や“文字”も伝え方、見方、聴き方によりまったく違ってしまうこと。また、言語の種類が3000~8000もあること。感性に訴える文字表現の仕方など等。日本語の中だけでも、まして標準語の中だけでもシーンに応じて使うことばはケースbyケース。しかしいづれも良いコミュニケーションを求めて活用されている現実を改めて気づかされたように思います。非常に面白い講義内容でした。

 最後に富士ゼロックス 執行役員 PS営業本部 麻生本部長より事業環境の変化への対応のためのIoTへの対応、自動化への対応、タイムラグの無い情報提供の3つの取り組みを持ってお客様に対峙し、DSFのパートナーとしてお役立ちできるよう精進していく決意をいただきました。

 閉会のご挨拶は、恒例の米田副会長より総括として、19年間のDSFの歴史を鑑み、社会の役に立つDSFであり、研究だけで終わらない、自社で実践に活かしてこそのDSFであることを伝えられ、今年度の全国発表大会も無事に終了しました。



懇親会は、横浜みなとみらいを一望できるインターコンチネンタルホテルの「アトランティック」にて開催されました。司会進行は(株)日本工業社の田中部長が担当され、(株)白橋の白橋社長の乾杯でスタートしました。今年は指向を変え、各研究会リーダーへメンバーから活動についての感想やトピックス、来年への豊富などを語っていただきました。未来を見据えた建設的な会話で盛り上がり懇親会は盛会の内に進行し、共立速記印刷(株)笹井社長が中締めのご挨拶をされ、集合写真を撮影してお開きとなりました。
 来年のDSF総会は2月10日(金)横浜みなとみらい「お客様価値創造センター」にて開催されます。多くの会員の皆様のご参加をお待ちしております。

DSF事務局 萬ヶ谷 治


懇親会場写真



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