去る7月5日、今年は四国愛媛の今治市に於いて 『2024年DSF中間発表会』が開催されました。航空機遅延のため波乱のスタートとなりましたが、会社見学先でご対応いただいた第一印刷の皆様や会員の皆様のご協力により、スケジュール変更となりましたが、プログラムに沿ってを進行されました。
松山空港に集合し、バスで今治に向かいました。今回の会社見学は、今治市内で今年75年目を迎える老舗として、地域密着型で未来創造を掲げる第一印刷株式会社にお伺いしました。第一印刷様は今治のゆるキャラ「バリーさん」を創出した会社であり、アイデア抱負で近年では特殊加工の貼箱やペーパークラフトなど販促にも力を入れられています。
【会社見学会】
会社見学では、第一印刷の西原社長からの企業紹介に続き、工場内設備や商材集を見学させていただきました。その後、DSFメンバーより自社商材やPOD事例を紹介し、中身の濃いお互いの情報交換の場となりました。
【中間発表会】
中間発表会は、今回も富士フイルムビジネスイノベーションジャパン GC営業統括部の不破晶子さんの司会進行で始まりました。
【DSF会長 ご挨拶】
*株式会社 ユーメディア 今野 均 社長
初めて今治を訪れました。もっと街中活気にあふれていると思っていましたが、駅前の空洞化や商店街のシャッター化など地方都市の抱える問題は同じだと感じました。ただ、こうした社会課題が逆にビジネスチャンスになるという思いもあり、DSFの活動などを通してチャレンジしていくことが重要だと考えています。
先入観や固定概念に縛られずに、社外の皆様との相互刺激の中で気づきを得られるDSFという存在が必要なのだと思っています。今日の中間発表会では、前半の活動を振り返り、残りの期間で何をするべきなのかを確認する有意義な場になるよう協力してやっていきましょうと述べられました。
【FB ご挨拶】
●FB GC事業本部 木田 裕士 取締役
続いて、富士フイルムビジネスイノベーションより木田役員が登壇し、
6月に取締役となり、富士フイルム全体のグラフィック事業責任者に就任したことと、
ここ瀬戸内海の周防大島(屋代島)が自身の生まれ故郷であることを報告されました。またDrupaでの富士フイルムの出展に触れ、全社の力を訴求する事を強く進め、全てを揃えて総合力を訴求した結果、一番集客のあったブースにも選ばれたことを紹介されました。他社を含め「後工程の「自動化」が大きく訴求され、「スマートファクトリー化」の実現に注力していきたいと話されました。
その後各研究会の発表に移りました。各研究会ともに時代にマッチし、 年々内容が濃く、精度が高くなってきている中間進捗の発表となりました。
各研究会の発表内容
【デジタルマーケティング研究会】
●リーダー(代理):ヤマゼンコミュニケイションズ株式会社 井上 博史 氏
活動指針は一つ目に未来に向けたデジタルマーケティングの実戦と深堀り、二つ目に売上に直結するマーケティングの実践、三つ目は既存事業のリソースを生かすテクノロジー・情報の共有をするというテーマで取り組んでおり、デジタルマーケティングの利活用とサービスの実践により、売上げ実績に繋げることを目指すべきゴールとして進めています。前半の活動として、QUEAR導入による実践事例の共有(東京文久堂 林田氏)、CES2024の視察共有(アピックス 重松氏)とKairos3を活用したMA活動報告を行いました。また、実務者にもOpen参加いただき、GA4の勉強会を開催しました(ビジネスアライアンス 加藤氏)いづれも近未来に向けた夢の現実化が見えそうになってきています。後半に向けては、メタバースNFTの活用方法、売上に直結するマーケティングの実現を目指し情報共有と横展開、生成AIとPODとのサービス研究などを進めたいと発表されました。
【人財育成研究会】
●リーダー:株式会社オーディーピーセンター 林 譲治 社長
今年のテーマは「管理職としてのリーダーシップ育成」で、3つの柱を中心とした基本的な考え方で進めていきます。前半3回の稲葉コーチからのレクチャーで、 リーダーシップスタイル・アカウンタビリティマネジメント・アサーティブコミュニケーションについて、順を追ってセルチェックをしながら学びました。リーダーシップ研究の歴史とSL理論・PM理論についてはV-PM診断も実施して自身のリーダーシップスタイルを認識しました。また、ヴィクティム(被害者的)とアカウンタブル(自主的)ではリーダーの態度が部下やチ-ムに及ぼす影響を学び、アカウンタビリティラインの上にいることが重要です。課題として「主体的に動く」~オズの魔法使いに学ぶ組織づくり~という書籍を読んでレポートを提出しました。現在学んでいる事のセルフチェックと部下との接し方を考えるのに役に立ちました。 アサーティブコミュニケーション(爽やかに自己主張する)についてもセルフチェックで現状自分のレベルについて確認しました。自分ごととして捉えきれていない反省点に気付かされました。前半の学びで自分自身の評価を確認できたので、後半はそれを基に自分が目指すリーダー像を明確化し、その為にどのような行動をするのかを考えていきたいと思います。人材育成はゴールというゴールが導き出せない、継続的に行うものではありますが、引き続き自分たちで考え、行動していく事をずっと続けていきたいと思います。
【DX研究会】
●リーダー:株式会社オーディーピーセンター 林 敬太 会長
活動テーマは前期からの継続で、「生産領域のDX化を実現し、より生産性の高いワークフローを構築する事」です。具体的にはRPAソフトの研究、Free Flow Coreといった自動化ソフトについて各現場で研究した成果を共有し、勉強する取組みを行っています。初回活動として、東京ビッグサイトで開催された 「Japan IT Week 春」の見学を行い、各メンバーからロボティクスや自動化ツールなどの新たな情報を得られ、各社課題と照らし合わせました。2回目からは、各社課題と今期取り組み内容についてシェアし、生産領域の工程管理について課題認識を行いました。そのような中、第3回ではワークフロー自動化のXmf Press Readyのご紹介をいただきました。ただ、Free Flow Coreからの移行に関してはまだ運用上の課題があり、今後の富士フイルムBIのサポート対応策は継続審議となりました。また、特殊機能の自動化による業務自動化についての事例発表がありました。
●事例発表:東洋美術印刷株式会社 及川 正浩 氏
『RPAを使用したデータチェックの検証について』 《リモート》
紙媒体からデジタル媒体へのシフトが進んでおり、顧客からのデータ納品のニーズが高まっています。このデータチェックの工程が重要不可欠でPDFの件数が増えれば人的対応に限界が出るため、RPAを活用して確認作業の自動化・省力化を目指しました。RPAソフトは「Ui-Path」を使い、6工程のチェック項目を検査するフローにより検査合否を判定します。作業効率は従来の手作業から約1/4に省力化が見込まれます。今後は他業務への活用も視野に入れ、作業負担軽減や顧客要求への迅速な対応ができるフローを構築することは業界競争力を維持でき、品質向上やコスト削減にも繋がる活動と考えています。
最後に林会長より、chatGPTと画像生成AIの話をされ、システムとして導入した以上、使いたおすことが重要です。常に合理化する探究心をもってほしい。「必要は発明の母」という言葉がありますが、「横着は発明の母」と解釈したいと思います。後半は、Kintone MISの実例見学で京都の中西印刷様への訪問と生成AIに関するセミナー(経営者の会・デジタルマーケティング研究会とのコラボ)の計画で進めます。
【ODPグラフィック研究会】
●リーダー:東洋美術印刷株式会社 根本一朗 次長
今年のテーマは、1つは「デジタル印刷機の技術本を作ること」。2つ目は「売れる商材、仕組み作り」です。マーケットインの視点とプロダクトアウトの視点でのマーケティングミックスで「顧客の創造」という目的を検討する必要があります。 研究会最初に「DSF研究会の意義・目的」をメンバーと共有しました。
「技術本」については、強みは何なのか、また誰に向けての本にするかを議論し、何に生かすかも視野に入れ、制作だけでなく営業的な活用シーンも継続検討します。研究会第2回目は会社見学で三恵社様を訪問し、 「創造する精神」を企業理念として新しいものを生み出していく企業文化を学びました。お客様と一緒に創造していく絵本ビジネスや社員発案のボードゲーム事業など、知識を知恵に変えて創造する精神を学んだ貴重な1日となりました。
「売れる商材作り」も市場とお客様に寄り添い、一緒になってものを創っていく事が重要だと思っています。後半も継続してテーマに向かって具現化を進めます。マーケットニーズ(顧客)とそれを実現するテクニカル(技術)を融合してアウトプットに繋げたいと思います。
【経営者の会】
●担当理事:株式会社明光社 矢野 剛 社長
1月に三遊亭金朝さんをお招きして、銀座の花蝶での新年会にてスタートを切りました。そして今日、会社見学会として第一印刷様を見学させていただきました。後半は、7月中旬に「異業種マーケティング勉強会」として、北海道エスコンフィールドでボールパークプロジェクトについて、ファイターズの経営層の方にお話をお伺いすることになっています。半面、札幌ドームの現状も気になりますね。来年あたりにはV字回復した札幌ドームを見学できればと思っています。また、9月下旬にはデジタルマーケティング研究会とDX研究会のコラボ企画で生成AIについて学びたいと思っております。それからまだ日程調整中ですがFuture Edge海老名に行きたいと考えております。先程木田取締役からもお話がありましたが、「スマートファクトリー」はこれからのキーワードのひとつだと思いますので、見学して勉強したいと考えております。と開催イベントを話されたあと、先程の第一印刷様の見学会の中で、儲けの構造ということで「フローとストック」のお話をさせていただきましたが、もう一つ大切な事を言い忘れました。「価格決定権」 、これがあるのか無いのか、フローとストックの軸と価格決定権があるのか無いのかの4象限のどこで戦うのかが今後とても大切だと考えております。BtoBからBtoCといったことも考えられますし、また差別化も大事なキーワードだと考えております。経営者の会ではこうした視点も織り交ぜながら、経営を見つめ直していきたいと思いますと述べられました。
【社会貢献活動】
●担当理事:株式会社オンデマンド 生島 裕久 社長
《リモート》
今年から社会貢献活動の担当になりました生島です。本日はリモートでの発表となることご容赦ください。やはり皆さんと顔を合わせて経営や技術課題について話し合うのは大切だと痛感しております。 2024年の予定につきましても、継続実施いたします。全国の視覚支援学校様へ「拡大本」寄贈の協力を皆様へお願いいたします。提供する本のラインナップは「漢字の本」「English Book」「世界の国旗」の3種類をご提供いたしますが、「世界の国旗」につきましては中身が現状とそぐわない部分がありますので、今年は改定しようと思っております。去年のデータではなく、確認していただいて新しいデータをお使いいただくようご注意願います。また、ご協力いただける新しいメンバーのご参加もお願いしたいと思っております。スケジュールですが、7〜8月にニーズ調査を行いますが、もし送りたい盲学校様などがございましたら8月中までに申込を集約していただければと思っております。8月9日に参加企業様を決定しまして9月末にかけて振分と制作依頼を進め、できれば本大会の前に完了するスケジュールで進めたいと思っております。今年もぜひご協力をお願いします。との協力依頼で括られました。
【会社見学会先ご挨拶】
●第一印刷株式会社 代表取締役社長 西原 孝太郎 氏
第一印刷の西原と申します。本日は今治までお越しいただきましてありがとうございます。弊社は色々と新しいチャレンジをしている最中ではございますが、全体の7〜8割は地元の既存の仕事です。従来までの地域密着でお客様のニーズに沿ったものを、ただ提供する受け身の体質からは、何とか脱却したいと考えております。チャレンジを通じて色々な人とのご縁で私自身も成長できましたし、実際ペーパークラフトを使って自分のお客様に提案したいというお話もたくさんいただいております。先程根本様のお話にもございました「顧客の創造」については弊社もしっかりと取り組んでいきたいと思いますし、色々な新しいアイデアをしっかりと実現できるように今後も取り組んで行きたいと思います。色々な側面から皆様のご指導、ご鞭撻をいただければと思います。今回は工場見学を通じて貴重な機会をいただきまして本当にありがとうございました。とご挨拶いただきました。
【DSF事務局長挨拶】
●FB GC事業本部国内営業企画部 青木 稔 部長
第一印刷様への会社見学のお礼と、意見交換会での各社ビジネス商材について非常に勉強になったこと、また研究発表についても年々レベルが上がってきていると感想を述べられました。
Drupaの状況にも一部触れたあと、DSFという会が皆様の良き学びの場であり、継続的にコミニュケーションできる場にしたいと事務局の立場として思っております。今後ともDSFが永続的に発展できるよう事務局としても引き続き努力いたします。と括られました。
【総括と閉会のご挨拶】
●DSF副会長 株式会社 コームラ 鴻村 健司 社長
最後のパートとして、副会長の鴻村社長に総括をいただきました。第一印刷の西原社長へのお礼のあと、岐阜と今治は似ている感じがしましたが、どちらももっと町おこしを頑張る必要があると感想を述べられました。研究発表については、各研究会活動へのコメントを話された後、どの研究会も非常に活発な印象を受けました。大きな視野で後半も活動していただきたいと思いますと期待を述べられ、最後にDSFのディファクトスタンダードをしっかりと作り、皆様がより稼げる会社になれるように期待して、私からの締めの挨拶とさせていただきます。と
括られました。
中間発表会はこの後、全体の集合写真を撮影して閉会となりました。
《全体集合写真》
《リモート参加キャプチャ》
懇親会
懇親会は引き続き同ホテルで行われ、司会進行は株式会社白橋の白橋昌磨様にお願いし、株式会社三恵社の木全社長の乾杯のご発声でスタ ートしました。快晴で気温も高かったことで皆さんドリンクが進み、口元も滑らかとなった頃、今回の懇親会のテーマは、中間発表会にちなみ「今年あなたが実現しようとしたことや抱負について、その中間進捗をお話ください」として、会員の皆さんに一言語っていただきました。 会も進む中、株式会社明光社 矢野社長に中締めをお願いし、後半 の活動に期待することを誓い合い、記念の集合写真を撮影したあとお開きとなりました。
《懇親会風景》
《懇親会集合写真》
【懇親ゴルフ】
翌日も天候に恵まれ懇親ゴルフが開催されました。今年は毎年「大王製紙エリエールレディスオープン」が行われるエリエールゴルフクラブ松山での開催となりました。途中、瀬戸内の海も眺望しながら、コミニュケーションを深められるコンペとなりました。
今回もご参加いただいたすべての企業の皆様、および準備より携わっていただいた関係各位の皆様のご協力により会社見学会および2024年中間発表会を無事終了できましたことに事務局より感謝いたします。 次回11月15日(金)には2024年全国発表大会を予定しておりますので、多くの会員の皆様のご参加をお待ちしております。
DSF事務局
萬ヶ谷 治